カメラ体験の最大化からロボット掃除機、ノンフライヤー調理器まで キヤノンMJが描くファンベース戦略と少数精鋭の高効率運営で挑む次世代ビジョン(1/2 ページ)

» 2026年03月06日 12時00分 公開
[大河原克行,ITmedia]

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は2026年3月4日、IR Dayを開催し、デジタルカメラやプリンタなどのコンスーマセグメントにおける事業戦略について説明した。

 同社では、2026年1月28日に、2030年を最終年度とした「2026-2030長期経営構想」と、2028年を最終年度とする「2026-2028中期経営計画」を発表。今回のIR Dayでは、コンスーマセグメント(コンシューマー領域)での具体的な取り組みを明らかにした。

 2028年度にコンスーマ事業の売上高で1450億円、営業利益130億円、営業利益率9.0%を目指す。

キヤノンマーケティングジャパン CMJ コンスーマー 事業戦略 カメラ フライヤー 推し キヤノンマーケティングジャパン コンスーマビジネスユニット長 常務執行役員の三上公一氏

コンスーマ事業が描く「3つの主要戦略」と顧客体験の最大化

 キヤノンマーケティングジャパン コンスーマビジネスユニット長 常務執行役員の三上公一氏は、「2025年度の実績水準を維持しながら、中身を磨いていく。カメラを中心とするイメージングと、外部仕入れ商材を伸ばし、インクジェットプリンタを中心としたプリンティングの縮小影響を最小化する」との基本方針を示した。

 コンスーマセグメントは、キヤノンブランドのレンズ交換式カメラ、コンパクトカメラ、インクジェットプリンタ、レーザープリンタ、ミニフォトプリンタ、放送機器、電卓などの「キヤノン製品他」と、外部から仕入れる高性能PCやPC周辺機器などの「ITソリューション(コンスーマユース向けプロダクト)」で構成される。

 主に個人およびSOHO市場を対象に展開しており、家電量販店やカメラ店、ECサイトなどを通じた間接販売と、キヤノンオンラインショップなどによる直接販売によって事業を推進している。

キヤノンマーケティングジャパン CMJ コンスーマー 事業戦略 カメラ フライヤー 推し コンスーマセグメントの概要

 同社では、2025年度を最終年度とする「2021-2025 長期経営構想」に取り組み、コンスーマセグメントの2025年度売上高は1448億円と5年間で12%増加したが、営業利益は130億円となり、5年間で4%下落した。

「収益性の悪化は、外部商材を含むITプロダクトの構成比が22%から28%に高まり、プロダクトミックスが変化したことが影響している」と説明。「今後は、価値訴求と運営効率の両輪で、収益性の底上げを図る」とした。

キヤノンマーケティングジャパン CMJ コンスーマー 事業戦略 カメラ フライヤー 推し 「2021-2025 長期経営構想」のまとめ

 新たにスタートした「2026-2028中期経営計画」では、コンスーマセグメントの目指す姿として、「個人のお客さまを起点に、商材ポートフォリオの拡張とチャネルの開拓と最適化を同時推進し、価値提供と販売の最大化を実現する」を挙げ、主要戦略として「キヤノン製品を通した顧客体験価値の最大化」「キヤノン製品以外の消費者向け商品を幅広く展開」「少数精鋭・高効率な事業運営」の3点を指摘した。

キヤノンマーケティングジャパン CMJ コンスーマー 事業戦略 カメラ フライヤー 推し 「2026-2028中期経営計画」で取り組む3つの戦略

 1つ目の「キヤノン製品を通した顧客体験価値の最大化」では、レンズ交換式カメラ、交換レンズ、コンパクトカメラによるイメージング戦略について説明。プロ向け、ハイアマチュア向け、エントリー向け、初心者向けといった顧客の撮影レベルに合わせて、用途に適した静止画、動画までの幅広い製品をそろえるという。

 さらにレンズ群については、特にハイアマチュア向けにおいて撮影する主要被写体が異なるため、独自に「被写体別リレーション」を展開している。撮影ジャンルに応じた豊富なレンズ群を提案し、さまざまな撮影ニーズに対応しながら、それぞれの用途に応じたコミュニケーションを進めるという。

 現在、RFレンズのラインアップは54本に達しており、シネマレンズを含めると2月末時点で65本を用意している。

 「キヤノンのイメージング戦略はプロから初心者まで幅広いラインアップで、多様なお客さまをサポートすると共に撮影ニーズに合わせたレンズ群を提供することで、顧客の体験価値を高めることになる。これにより、多様な表現力を提供できる」とした。

 その一方で、今後の戦略の1つとして、若年層を対象にした取り組みについて言及した。「動画とハイブリッドで使えるカメラや動画専用機が若年層に広がっている。長時間の動画撮影を行っても、本体内に熱を持たないこと、コンパクトであることなどが重要である。これらの商品に関しても、さらなる拡充に向けてキヤノンと話をしている」と述べた。

キヤノンマーケティングジャパン CMJ コンスーマー 事業戦略 カメラ フライヤー 推し デジカメやレンズなどイメージング製品では顧客価値の最大化を目指す

 また、ファンベースマーケティングにも力を注ぐ。

 同社では、2024年から1to1マーケティングの強化に向けて、各種サービスを共通で利用できる個人向けアカウント「Canon ID」を開始している。顧客一人ひとりに適したコミュニケーションを実施し、CX(顧客体験)ループによって、キヤノンファンとの長期的なつながりを強化することを目指している。

 「野鳥や飛行機など、速くて遠い被写体を撮影する場合は高性能な望遠レンズが必要になるなど、被写体ごとに適したレンズが異なる。ハイアマチュア層は、自分がイメージする理想の写真撮影のため、多種多様なレンズを保有する。Canon IDは、こういったお客さまに対して、それぞれにパーソナライズした情報を届けることになる。ファンベースマーケティングに軸足を移すことで、お客さまが撮りたい世界に寄り添い、より深い関係構築を進めることになる」とした。

キヤノンマーケティングジャパン CMJ コンスーマー 事業戦略 カメラ フライヤー 推し ファンベースマーケティングにも注力する

 Canon IDによるファンベースマーケティングでは、認知/興味/関心から、比較/検討/購入/利用/体験/発信/アフターサポートまでをCXループとして捉え、顧客のロイヤリティー向上につなげ、「長期にわたってキヤノンファンでいていただけるようなサービスを展開していきたい」と述べた。

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