ゲーム、スポーツ、健康機器、そして“節電”支援まで――2億台規模の市場を持つiOSアプリの現在:42万5000本、150億ダウンロード(2/3 ページ)
新しいジャンルの家電製品としては、非常に速いペースで広がり続けている「iPad」。同製品を担当する米Appleワールドワイドマーケティングのスコット・ブロドリック氏が来日し、iOSアプリケーションの現状について紹介した。
新世代のエンターテインメント
テレビにつないで楽しむといえば、「Air Play」機能も忘れてはならない。8800円の「Apple TV」をテレビにつないでおけば、iOS機器のフォトアルバムに詰まった写真やムービー、音楽を、無線LAN経由、つまりケーブル不要でテレビに映し出すことができるのはよく知られているが、最近このAir Playに対応したエンターテイメントアプリケーションが続々登場している。
アップル自身が提供している「iTunes Festival London」のアプリケーションもその1つだ。世界最大の音楽販売サービスとなったiTunesが現在ロンドンで音楽祭を開催していおり、AdeleやBruno Mars、Foo Fighters、Paul Simon、Coldplay、Mobyなどの有名どころを集めてライブの模様を毎日ネット配信している。そのネット中継を見るための無料アプリケーションが、この「iTunes Festival London」だが、このアプリケーションはAir Playに対応しているため、ソファでリラックスしてライブを楽しみたければ、そのままAir Play転送してテレビの大画面で楽しむことができる。
同じ音楽系エンターテイメントで、オススメなのが「djay」というアプリケーションだ。2300円とそれなりに高価なアプリケーションだが、iPadに入っている音源2つを、それぞれのターンテーブルにセットして、本格的なスクラッチプレイはもちろん、再生開始のキューポイントを指定しておいて、音源をつなげて楽しめる。
iPadのエンターテイメントといえば、電子書籍も大きな注目を集めてきたが、久しぶりに大人でも夢中になれる本格的なインタラクティブ電子絵本の超大作が登場した。元ピクサーのスタッフが製作し、数々の賞を総なめにした短編CGアニメーション映画「The Fantastic Flying Books of Mr. Morris Lessmore」を絵本化したアプリケーション(600円)で、各ページに読み手を楽しませる仕掛けがふんだんに用意されている。英語の絵本だが、子どもでもそれなりに楽しめるはずだ。
子どもと楽しめる製品ではもう1つ、Crayola(クレヨーラ)が作った「Crayola Color Studio HD」も技術的に面白い。アプリケーションそのものは無料の塗り絵アプリケーションだが、この塗り絵、iPadの画面を指でタッチしても色を塗ることが“できない”。色を塗るには、グリフィンテクノロジーが開発した「iMarker」(Apple直営店にてこの夏から2980円で発売予定)という特殊な極太のスタイラスペンが必要なのだ。実はペン先からマイクロパルス波が出ていて、アプリケーションが指先でのタッチと、同スタイラスでのタッチを区別している。
これと同様の仕組みを使えば、今後、指とスタイラスを区別して、より操作にバリエーションを加えたアプリケーションが登場することも期待できそうだ。
機器との連動で体調管理やスポーツも支援
実は今回紹介されたアプリケーション群では、このiMarkerのスタイラスを含めiPhoneと、さまざまな機器との連携も1つのテーマになっていた。
「WiScale」は、Withingsが1万7800円で発売する無線LAN機能内蔵の体重計だ。自分の体重をTwitterにつぶやく体重計などが話題になっていたが、無料の「WiScale」というアプリケーションと組み合わせると、日々の体重変化のグラフをiPhoneで確認し、体調管理をすることができる。
一方、iPhoneを自転車と合体させる「iBike」という製品もある(国内価格は未定だが、米国では199ドル)。後輪とそのフレームにセンサーを取り付けることで車輪の回転速度を検知し、ハンドル部分にドック端子でしっかりと取り付けたiPhoneに、走行距離やスピードの変化などの情報を転送し表示してくれるアプリケーション「iBike Coach for iBike Dash」とペアになっている。自転車の運転中でも、操作がしやすいように画面の左右スワイプなど、あまり細かな操作を行わずに機能が利用できるように工夫されている。
一方、かなりの変わり種がゴルフクラブメーカー、PINGが発売予定の「iPing」というゴルフのパターを練習するアプリケーションだ。専用のパター(2種類)にiPhoneを装着するクリップが付属している。これをパターの所定の位置に装着すると、iPhoneに内蔵された3軸のジャイロセンサーが、振りの大小やスピードといったデーターを記録する。これによって、どれだけ安定したスウィングができているか、どんなプロの選手にパターの仕方が近いかなどを教えてくれる。
自転車やパターに特定の携帯電話端末を装着する、という荒技は、常に世界で膨大な数が売れ続け、製品の大きさや形状が固まっているiPhoneだからこそできるビジネスだろう。
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