産業向け蓄電池が補助金対象に、定格出力は10000W蓄電・発電機器

経済産業省が据え置き型リチウムイオン蓄電池の購入者に補助金を出す事業を続けている。これまで補助対象となった製品は住宅向け、あるいはオフィスのごく一部の機器で利用するもので、大規模なものはなかった。今回、ようやく「産業用」と言える大規模な製品が補助対象となった。

» 2012年08月02日 09時30分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 据え置き型リチウムイオン蓄電池の補助金制度を運用している「環境共創イニチアチブ」は、パナソニック エコソリューションズ社が販売する「LJ-ME15A」を新たに補助対象に追加した(図1)。これで、補助対象製品は6社の17製品となった。

図1 新たに補助金対象になったパナソニック エコソリューションズ社の「LJ-ME15A」

 LJ-ME15Aは、同社が「[公共・産業用] リチウムイオン蓄電システム」として販売している製品。「公共・産業用」としているだけあって、その性能はこれまでの補助金対象製品と比べるとかなり高い。

 蓄電容量は15kWh。単相100Vだけでなく、単相200V、三相200Vの出力にも対応する。三相200Vの電源は、業務用の大きな空調機器などに必要なものだ。用途を「公共・産業用」としているだけあって、業務用の機器にもきちんと対応している。

 定格出力は10000W。このうち、単相100Vの出力は1500Wを2系統、合計3000Wとなる。これまで補助対象となった蓄電池の中で、定格出力が最も大きいものは京セラの製品で、出力値は2500Wだった。この製品の出力値は京セラの製品の4倍に当たる。蓄電容量も大きいが、何と言っても定格出力が大きいところが最大の特長と言えるだろう。

 ほかの蓄電池と同じように、主な用途はピークカットと停電時の備えだ。平常時は夜間に電力会社からの電力を充電し、昼間のピーク時に放電する。ピーク時に電力会社から受電する電力量を抑えられるため、ピーク電力を抑えられる。その結果、電力会社との契約電力を抑えることが可能になり、基本料金を引き下げられる。

 特に時間帯によって電気料金単価が変わる、「季節別時間帯別契約」を交わしている施設なら、安価な夜間電力を充電しておいて、電気料金単価が高いピーク時に放出することで、同じ量の電力を使用しても電気料金を安くすることができる。

 停電時の備えという面では、どういう状況で、どれくらいの時間にわたって電力を利用できるのかということが気になるポイントだ。この点についてパナソニック エコソリューションズ社は、接続する機器の消費電力の合計が大体2000Wならば約6時間としている。ただし、これは出力が単相100Vの場合だ。単相/三相200Vの場合は、機器の消費電力値合計が大体6000Wならば約2時間としている。停電時は200Vの機器の利用を避け、100Vの機器のみを使うようにした方がよさそうだ。

太陽光発電パネルを有効に活用する機能を搭載

 LJ-ME15Aは、太陽光発電システムのパワーコンディショナーの機能も備えている。太陽光発電パネルが出力する直流の電力をそのまま蓄電池に充電する機能も備えている。直流/交流変換による損失を防げるので、太陽光発電パネルが発電した電力を有効に利用できる。

 LJ-ME15Aに太陽光発電パネルを接続すると、平常時は蓄電池に充電した夜間電力に加えて、太陽光発電パネルが発電した電力も利用してピーク時間帯に電力会社から受電する電力量を減らす。

 停電時は太陽光発電パネルで発電した電力を施設と蓄電池に振り分ける。発電した電力は基本的に施設に供給し、余った分を蓄電池の充電に回す。太陽光発電パネルが発電しなくなる夜間は、蓄電池から施設に電力を供給する。

 価格は808万5000円(税込)。機器の購入にかかる費用と、工事にかかる費用(一部のみ)の1/3の補助を受けられる。個人が蓄電池を購入する場合は補助金の上限が100万円までとなっていたが、法人が購入する場合は上限は1億円となる。この製品の場合、269万5000円の補助を得られる計算になる。

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