まだ日本では少ない洋上風力発電所の大規模な建設計画が決まった。茨城県が鹿島港沖で進めるプロジェクトで、50基の大型風車を使って250MWの発電を可能にする。5年後の2017年から順次運転を開始する予定で、フル稼働すれば茨城県内の16%の家庭で使用する電力を供給できる。
茨城県は年間を通じて風が強い鹿島港の沖合を「再生可能エネルギー源を利活用する区域」に設定して、大規模な洋上風力発電プロジェクトを推進する(図1)。このほど港湾区域内の約6.8平方キロメートルの水域を利用した発電事業で2社の風力発電事業者を選定した。
県が発表した計画によると、発電能力が5MW(メガワット)の大型風車を2社で50基ほど建設し、合計で250MWの発電を可能にする。風力発電の稼働率を30%と想定して、年間に6.57億kWhの電力を供給できる予定だ。これは一般家庭が年間に利用する電力に換算して約18万世帯に相当し、茨城県内の16%の家庭をカバーできる電力量になる。
日本では洋上風力発電所の数は極めて少ないが、海外では大規模な発電所が数多く建設されている。現時点で最大の規模はイギリス中部のウォルニー島沖にある洋上風力発電所で、発電能力は367MWに達する。鹿島港沖の計画は、それに次ぐ世界でも有数の規模になる予定だ。
今回の事業者に選定された2社は、すでに鹿島港沖で14MWの洋上風力発電所を稼働させているウィンド・パワー・エナジーと、海外で風力発電事業を展開している丸紅である。両社が対象区域を二分する形で発電所を建設する(図2)。
再生可能エネルギーの拡大が急務になっている現在、風力発電は太陽光発電に次いで有望視されている。風が強い地域を選ぶと太陽光発電よりも稼働率を高くできることから、今後は全国各地で陸上・洋上ともに大規模な発電所の建設計画が増加する見込みである。
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