LED電球を導入する前に気を付けたい7つのポイントLED照明(2/2 ページ)

» 2012年09月20日 09時15分 公開
[笹田仁スマートジャパン]
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光の広がりに注意

 元々LEDが発する光は一直線に進むものだ。かつてのLED電球はほぼ真下しか照らさないものが多かった。最近のLED電球は、LED素子の工夫や電球を覆うカバーの工夫で白熱電球と同じくらい光が広がるようになったが、今でも真下を強く照らすLED電球は手に入る(図5)。

図5 パナソニックは光が広がるもの(左)と、真下を強く照らすもの(右)の2種類のLED電球を販売している

 一般的な用途なら、光が広がるものを選んでおけばよいだろう。下だけでなく、横や天井方向も照らしてくれるので、広い範囲が明るくなったと感じるはずだ。

 真下を強く照らす製品は、照明に凝りたい人に向いている。例えばLED電球の光の筋を強く見せたいというときは、真下を強く照らす製品が非常に向いている。

光色を使い分ける

 照明に凝りたい人なら、光の色にもこだわりたいところだろう。確かに、どの部分も青白い昼白色で照らすだけでは味気ない。昼白色はオフィスの執務室など、人間に集中力を発揮させる場所には向いているが、リラックスできる光ではない。

 リラックスしたい空間には電球色など、黄色に近い光色を選ぶと良いだろう。例えば、パナソニックは光色が電球色でランプを覆うカバーが透明な製品を販売している(図6)。このような製品を利用すると、一般的なLED電球とは全く違う光が得られる。場所と利用シーンを考えて光色を選ぶと、電球を入れ替える前と全く異なる雰囲気を演出できるだろう。

図6 パナソニックが販売しているLED電球「LDA6L/C」発光するLED素子を宙に浮かべたような形になっている

演色評価数によって使う場所を変える

 次は「平均演色評価数」の話だ。これは、電球の光が照らした物体が自然な色で見えるかどうかを示す尺度だ。値が高いほど「自然な色に見える」ということになる。LED電球が市場に出回り始めた頃は、平均演色評価数が低いものが多く、そのような電球で物を照らすと青白く見えるということがよくあった。

 最近は各メーカーが出荷するLED電球の平均演色評価数も70〜80と、蛍光灯と同程度まで改善した。しかし、メーカー各社はさらに平均演色評価数を上げるために研究開発に取り組んでいる。

 東芝ライテックは他社に先駆けて、平均演色評価数が高いLED電球を発売する(図7)。販売開始は2012年9月25日の予定。平均演色評価数は90に達する。

図7 東芝ライテックのLED電球。平均演色評価数は90に達する。価格は税込で4830円

 電球で物を照らして、自然な色に見えると、人間の肌の色がよく見えたり、料理が美味しそうに見えるといった効果が期待できる。例えば、食卓の上や、化粧をする洗面所などには、特に平均演色評価数が高いものを選ぶと良いだろう。

明るさはルーメンで確認

 最後は電球の明るさの話だ。LED電球のパッケージに「白熱電球60W相当」のような記述がある製品もあるが、このような記述は無視したほうが良い。メーカーによって基準が異なり、同じような表現でも明るさがまちまちということがある。実際、パッケージに記してある白熱電球と比較して、明るさが足りないということで経済産業省の指導を受けたメーカーも存在する。

 経済産業省の指導があってから、各メーカーはパッケージにlm(ルーメン)の値を大きく表示するようになってきた。lmは全光束という意味で、その光源が放つ光の総量を示す。lmを正確に表示するようになってから、LED電球の明るさを正確に比較できるようになった。

 しかし、「白熱電球60W相当」という表現法はユーザーにとって便利だという側面もあった。「60W電球からの入れ替えならばこれだ」と簡単に決められるからだ。それが、lm表記になってしまうと、現状の電球と同じくらいの明るさの電球はどれなのかがわかりにくくなる。

 そこで日本電球工業会は、LED電球の明るさと白熱電球や電球型蛍光ランプと比較した資料を公開している(図8)。この資料を見ると、白熱電球60W相当の光を放つLED電球は全光束が810lmのものだとはっきり分かる。

図8 日本電球工業会が公開している、LED電球と白熱電球、電球型蛍光ランプの明るさを比較した資料

 以上、LED電球を購入する前に気を付けたいポイントをまとめてみた。特に密閉型器具や断熱材施工器具の問題には注意してほしい、LED電球が放熱できなくなって壊れてしまう可能性すら考えられるからだ。

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