系統連系も可能、比較的低温な熱源も利用できる発電機蓄電・発電装置

地熱や温泉の熱を利用して発電する方式のうち、比較的低温の熱源を利用するものをバイナリー発電と呼ぶ。IHIは出力20kWの小型バイナリー発電機を開発した。2013年度の市販開始を目指している。

» 2012年09月21日 11時15分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 IHIは最大出力20kWと小規模なバイナリー発電機「ヒートリカバリー“HRシリーズ”」の開発に成功し、商品化のめどが立ったことを明らかにした(図1)。バイナリー発電は比較的低温の熱源を使って発電する方式。IHIは今回開発した製品が、70℃〜90℃の温水を利用して発電できることを確認し、商品化できると判断した。

図1 IHIが開発したバイナリー発電機「ヒートリカバリー“HRシリーズ”」。幅が約2m、奥行きが約1.4m、高さが約1.6mとコンパクトにまとまっている。右側は内蔵するタービン。低温で沸騰する媒体による蒸気でこのタービンを回し、発電する

 出力が20kWとバイナリー発電機としては小さいため、少量の温水を熱源として発電することができる。工場が周囲に分散して排出する温水も、集めることなくそのまま発電に利用できるという。

 まとまった量の温水供給が期待できる場所では、この製品を何台も並列で配置し、それぞれが温水を受けて発電するようにもできる。この場合は、1台1台メンテナンスすることで、発電量下落を最小限に抑えながら全発電機のメンテナンスが可能になる。

 さらに、系統連系機能も搭載しており、発電機で足りない部分を電力会社からの受電でまかなうということもスムーズにできる。将来、しかるべき法制度の整備ができたら、余剰電力の売電も可能になる。

 IHIではこの製品を様々な業種の工場に向けて、2013年度から販売を始める予定。同時に、商品ラインナップの拡充も図っていく。

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