廃棄物の処理場にメガソーラー建設へ、3万平方メートルを千葉市が貸付スマートシティ

全国の自治体が再生可能エネルギーの拡大に向けて事業者の誘致に力を入れ始めた。千葉市は廃棄物の処理場に利用している広大な土地の一部を太陽光発電所(メガソーラー)の建設用地として貸し付ける。約3万平方メートルを年間450万円程度で提供する。

» 2012年10月24日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 千葉市が太陽光発電所(メガソーラー)の建設用地として貸し付けるのは千葉港に面した「蘇我地区廃棄物最終処理場」(図1)で、約17万平方メートルのうち3万平方メートル程度を22年間にわたって提供する。発電規模は2MW(メガワット)を想定しており、2014年1月から運転を開始する予定だ。

 土地の貸付料は発電事業者が提案することになっているが、参考価格として1平方メートルあたり年間で148.2円が示されている。3万平方メートルで年間の貸付料は450万円程度になる見込みで、22年間だと約1億円の収入になる。

 一方で事業者側の収支を算出してみる。太陽光発電では2MWの出力設備で年間に200万kWh程度の電力を作ることができる。固定価格買取制度で1kWhあたり40円で販売することによって年間の収入は約8000万円になり、20年間で16億円の収入を見込める。

 これに対してコストは、固定価格買取制度で見積もっている太陽光発電所の建設費(1kWあたり32万5000円)と運転維持費(1kWあたり1万円/年)を当てはめれば、2MW(2000kW)の規模で20年間に10億4000万円になる。土地の賃借料を加えると合計で11億4000万円である。

 結果として22年間で4億円以上の利益を想定できる。長期にわたる事業になるが、確実に利益が出る。自治体にとっても事業者にとっても損のないプロジェクトになりそうだ。千葉市は12月中に事業者を決定して、年明けの1月から事業に着手できるようにする。

 この太陽光発電所を建設する地域は京葉工業地帯の一角で、東京電力の火力発電所やJFEスチールの製鉄所などが立ち並んでいる。千葉市は地域内で再生可能エネルギーを取り込んだ「蘇我エコロジーパーク」の整備も進めており、新たなエネルギー供給基地として発展させる計画だ。

図1 太陽光発電所を建設する「蘇我地区廃棄物最終処理場」の所在地。出典:千葉市環境局

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