東京・関西・九州に続いて東北電力が電気料金の値上げを申請した。7月から実施する予定で、自由化されている企業向けでは単価を2割以上も引き上げることが確定した。家庭向けは標準モデルで8%程度の値上げだが、認可時には東京電力の場合と同様に縮小の可能性が大きい。
東北電力が2月14日に経済産業大臣に申請した電気料金の値上げ案では、企業向けの特別高圧で2.57円、高圧で2.68円、それぞれ1kWhあたりの単価を引き上げる。現在の単価は平均12円程度であることから、2割以上の値上げになる。電気料金が自由化されている特別高圧と高圧は認可が不要なため、7月から新料金が適用される。
4月からの値上げを予定している関西電力は特別高圧が2.68円、高圧が2.72円の増額で、東北電力とほぼ同等のレベル。これに対して同じ4月に値上げする九州電力は特別高圧が1.62円、高圧が1.65円で、関西と東北よりも大幅に抑えている。
すでに昨年4月に企業向け料金の値上げに踏み切った東京電力の場合は、特別高圧・高圧ともに4月の時点では2.61円の増額だったところを、家庭向けを値上げした9月から2.36円に引き下げた。関西電力と東北電力も同様の対応をとる可能性がある。
4社とも基本料金は据え置き、従量制の電力量料金だけを値上げする。地域別の電気料金に格差が広がり始めているが、認可が必要な50kW未満でも同様の傾向だ。小規模な商店・工場向けの「低圧電力」で比較すると、値上げ組の4社では1kWhあたりの単価が14円台〜16円台になるのに対して、まだ値上げを申請していない5社は10円台〜14円台である(図1)。
特に中部電力は当面のあいだ値上げしないと表明しており、値上げ組と比べて1kWhあたり4円〜5円も低い水準だ。すでに値上げを実施した東京電力と比較すると25%以上も安い。東京電力には再値上げの噂も出ており、今後さらに料金格差が広がっていく可能性がある。
東北電力が申請した値上げ案は、家庭向けで一般的な「従量電灯」でも関西電力に近い。月間の使用量が280kWhの標準モデルで、基本料金を含めた値上げ率は8.1%である(図2)。ほぼ同様のモデルで関西電力は8.8%(月間使用量300kWh)だが、九州電力は家庭向けでも5.7%(同300kWh)と低めだ。
認可済みの東京電力は申請時の6.9%(同290kWh)から5.1%に値上げ幅を抑えられた。関西・九州・東北の3社も認可料金は申請時よりも低くなる可能性が大きい。その場合に東京電力と同様、企業向けの値上げ幅も縮小することを期待したい。
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