東北の中堅5社が蓄電ネットワークに参加、デマンドレスポンスを実験スマートショップ

岩手・宮城・福島の3県にまたがる中堅企業5社をつないで、蓄電システムと太陽光発電システムによるデマンドレスポンスの実証実験が始まった。店舗やビルなど5つの拠点に蓄電・発電システムを設置して、クラウドネットワークを通じて充放電量を制御することで電力の需要を抑制する。

» 2013年02月28日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 この実証実験にはNECとオリックスが開発した分散型のエネルギー管理・制御システムを利用する。5か所の店舗やビルにリチウムイオン蓄電システムを導入して、それぞれの充放電量のデータをクラウドネットワークで収集して一括で管理・制御できるようにする方式だ。

図1 店舗に設置した大型の蓄電システム。出典:NEC

 5つの拠点は東日本大震災に被災した岩手・宮城・福島の3県に分散している。このうち2か所には大型の蓄電システム(図1)、そのほかの3か所には小型の蓄電システムを設置した。

 さらにオフィスビルを除く4か所には太陽光発電システムも導入して、各拠点の発電量・充放電量・電力使用量のデータをもとにネットワークで遠隔監視・制御する。

 5か所のシステムを合わせると蓄電容量は124kWh、発電能力は27.9kWになる(図2)。日産の電気自動車「リーフ」の蓄電容量が24kWhであり、システム全体ではリーフ5台分に相当する。太陽光発電の能力は住宅向けで標準的な4kWの約6.5倍の規模である。

 この分散型のシステムを使って、電力の需要(デマンド)がピークになる時間帯に、各拠点の蓄電システムの電力を放電することで需要を抑制する。いわゆる「デマンドレスポンス」を実施する計画だ。これにより電気料金の削減にもつなげることができる。NECは実証実験の結果をもとにシステムの製品化を進める。

図2 実証実験に参加する5社の所在地とシステム構成。出典:NEC

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