小売全面自由化と発送電分離が法案に、実施時期を明記して通常国会へ法制度・規制

日本の電力市場を開放するための抜本的な改革案が、いよいよ法律に盛り込まれることになる。改革の2本柱である「小売全面自由化」と「発送電分離」の実施時期を改正電気事業法のプログラム規定に入れた形で、2013年の通常国会に提出することが決まった。

» 2013年04月03日 14時09分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 4月2日の閣議で「電力システムに関する改革方針」が決定した。その方針説明の冒頭で「エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減に向けて、再生可能エネルギーの導入を進めるとともに電力システムの改革に政府を挙げて取り組む」ことを改めて宣言した。

 改革の具体的な内容は2月8日に政府の「電力システム改革専門委員会」がまとめた報告書に沿ったもので、「広域系統運用機関の設立」、「電気の小売業への参入の全面自由化」、「法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保」(発送電分離)の3段階に分けて実施する(図1)。

図1 電力システムの改革に向けた実行スケジュール(画像をクリックすると拡大)。出典:電力システム改革専門委員会

 第1段階の広域系統運用機関の設立については法案として2013年の通常国会に提出する。対象になる主要な法律は「電気事業法」で、その改正案の中に小売全面自由化と発送電分離の実施時期を「プログラム規定」として盛り込む。

 小売全面自由化は2016年の実施に向けて、2014年の通常国会に法案を提出する。発送電分離は2018年〜2020年の実施を目標に、2015年の通常国会に法案を提出することを目指す。今後3年間で順次、法律を改正して改革を進めていく方針だ。

 すでに東京電力は発送電分離を先取りする形で、4月1日から発電・送配電・小売の3事業に分割するカンパニー制に移行した。他の電力会社も1〜2年以内に同様の組織体制に移行することが予想される。東日本大震災から2年が経過して、ようやく電力市場の開放に向けた動きが本格的に始まった。

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