水力発電の出力を増やす、水車の交換で1.9MW増電力供給サービス

水力発電所から得られる電力を増やす方法はさまざまだ。有効落差を稼ぐ手法や発電に使っていなかった河川維持放流水を利用する手法がある。さらに、発電に使う機器を最新型と交換して出力を増やすことも可能だ。

» 2013年05月23日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 発電所の位置

 水力発電所にはまだまだ可能性が残っているようだ。北陸電力は既存の水力発電所の設備を一部交換することで出力を1900kW増やすことに成功した*1)

*1) 電気事業法第9条第2項の規定により、2013年5月21日に同社が経済産業省中部経済産業局へ届け出たもの。

 設備を改修したのは岐阜県飛騨市にある新猪谷発電所(図1、図2)。神通川水系の高原川にある水力発電所だ。本来の出力は3万3500kWだが、これを3万5400kWまで高めた。年間発電量は470万kWh増加するという。

 交換した設備は、直接水の流れを受ける水車ランナだ。さらに発電機を構成する部品のうち、回転運動をしない固定子も換えた(図3)*2)

*2) 同発電所の水車は、立軸単輪単流渦巻フランシス水車。発電機は立軸三相交流同期発電機である。

 北陸電力は今回の新猪谷発電所にとどまらず、今後も水力発電所の能力をさらに高めていく計画だ。設備変更の他、小規模な新設も予定している。2020年までに30カ所を改修、新設し、発電量を2007年度比で8000万kWh増やす。

図2 新猪谷発電所の本館。出典:北陸電力
図3 交換した設備。発電機固定子(左)と水車ライナ。出典:北陸電力

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