国内で最も多く風力発電所が集まる東北で新たに5つの大規模プロジェクトが進んでいる。東北電力が出力制御型の風力発電所を対象にした実証試験の候補に2社の5件を決定した。青森・岩手・秋田の3県にわたって合計171MWの風力発電所が2018年〜2020年に運転を開始する予定だ。
風力発電は太陽光発電と同様に出力が天候によって大きく変動するため、電力会社の送配電ネットワークに電力を供給する「連系」に制限が設けられている。東北電力は風力発電に対する連系量の拡大に取り組んでいて、2020年をメドに200万kW(2000MW)まで増やす計画だ(図1)。
連系量の拡大に向けて、出力を制御できる大規模な風力発電所を対象にした実証試験を実施することにしている。その候補になるプロジェクトに、電源開発(J-POWER)の2件とユーラスエナジーホールディングスの3件を決定した(図2)。5カ所の風力発電所を合計すると、出力は17万1000kW(171MW)になる。2018年3月から2020年3月にかけて運転を開始して、東北電力の送配電ネットワークに電力を供給する予定だ。
J-POWERとユーラスエナジーは候補地の市町村で大規模な風力発電所を運転中だが、さらに近隣の用地でも新しい発電所の建設計画を進めている。J−POWERは岩手県葛巻町と秋田県にかほ市で稼働している風力発電所(図3)に加えて、「新葛巻風力発電事業」と「新仁賀保風力発電事業」を推進中だ。この2カ所が東北電力の実証試験の対象になる可能性が大きい。
一方のユーラスエナジーは青森県東通村で4つの風力発電所を運営していて(図4)、新たに村内の2カ所に拡大する計画だ。五所川原市では「市浦風力発電事業」が環境影響評価の段階にあり、実証試験の候補に入るものとみられる。
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