「電気自動車は大歓迎」、イオンが充電器の設置台数を一気に10倍へ拡大電気自動車

イオンは2014年末までに電気自動車用の充電器1150基を490店舗に導入する計画を発表した。日本最大規模の充電ステーション網をうたう。2013年度中には有料サービスの運用実験も開始する。

» 2013年07月23日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 電気自動車の充電に最も適した場所はどこか。1つの解が、広い駐車場を備えたショッピングセンターだ。駐車場が広いために充電器の設置スペースに困らない。ユーザーは30分かそれ以上の時間店舗にとどまるため、充電の時間が確保できる。課題があるとすれば店舗側のメリットをどのように確保するかだろう。

 イオンは2014年度末までに490カ所の店舗(うち20店舗は今後新設)へ1150基の電気自動車用充電器を設置すると、2013年7月に発表した。2013年7月時点の導入規模43カ所(95基)を一気に10倍以上に拡大する計画だ(図1)。日本最大規模の充電ステーション網をうたう。設置後の充電器は既存のものと合計して普通充電器650基と急速充電器500基となる。

 総投資額は約30億円。そのうち3分の2を経済産業省の「次世代自動車充電インフラ整備促進事業」の補助金でまかなう計画だ。同促進事業では自治体の計画する充電器や公共性を有する充電器として、約7万基の整備を想定している*1)

*1) 2012年末時点では国内の電気自動車3万8000台に対して、公共の充電器は約6900基ある。

 図1に示した既存店舗では、パナソニックの普通充電器を採用している。1台の充電器当たり2台の電気自動車に充電できる。

図1 既存店舗に設置した充電器(青色の柱)。出典:イオン

 「現在、導入店舗の策定が終わった段階であり、2013年秋ごろから設置が始まる予定だ」(イオン)。同社はさまざまな形態の店舗を展開しており、充電器は主にモール型や大型の「イオンモール」とショッピングセンター「イオンタウン」、総合スーパーとスーパーマーケット「イオン」の3種類の店舗に設置する。その他、「マックスバリュ」と「イオンスーパーセンター」にも導入する。

有料化への試みも始める

 同社の取り組みは2020年度に向けたグループ環境目標「イオンのエコプロジェクト」の一環として進める。同プロジェクトでは2010年度比でエネルギー使用量を50%削減する。さらに現在の太陽光発電システムの導入量13MW(約160店舗の合計)を2014年度までに100MWへ、2020年度には200MWまで拡大する。発電した電力は固定価格買取制度(FIT)を利用して売電し、売電して得た資金を電気自動車の充電器の拡充や省エネ設備の導入に投入する計画だ。

 このような計画と並行して、充電器網を拡大後、さらにサービスを継続、安定化させるために利用有料化にも踏み切る。まずはユーザーに与える影響などを調査するため、沖縄県宮古島市の店舗「マックスバリュ宮古南店」で2013年度中に運用実験を開始する予定だ。

 同店舗は離島に立地するものの、24時間営業であり、駐車場台数は400台と多い。「料金体系の大枠を決めた段階だ。ワンコイン(100円/500円)か、当社の電子マネーWAON、またはその併用を考えている。現時点では会員制度の導入は考えていない」(イオン)。体制が固まり次第、全店舗に有料化を拡大する計画だ。

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