二重化していた認証試験を一本化、経産省が太陽電池モジュールのJIS改正法制度・規制

太陽電池モジュールを輸出、輸入するためには国際的な性能認証規格を通過することが必要だ。ところが国際的な規格に「塩害」に関する既定がないことから、これまでの日本工業規格(JIS)では規格が二重化しており、塩害に関係がない部分の認証試験が二度手間になっていた。そこで、経済産業省はJIS規格を改正し、一本化を図った。

» 2013年07月23日 13時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 太陽電池モジュールは約20年間、野ざらしのまま使われる。年間を通して直射日光を受け続け、雨や雪、ホコリもそのまま降りかかる。従って、対環境性能が重要だ。

 太陽電池モジュールの製品認証規格は国際的に統一されていた方がよい。どの国もさかんに輸出入を進めており、国ごとに製品認証規格が異なると、それぞれの規格に応じた試験が必要になり、メーカーの負担が増すからだ。

 ところが、日本のJISではこれまで国際規格と整合した性能認証規格*1)と国内基準の性能認証規格が並立していた。これは国際的な認証規格に「塩害」を想定した試験が規定されていないという理由だ。ここでいう塩害とは海水が飛沫となって短距離ながら空中を飛び、金属部分を腐食することを指す。例えば、海沿いの工業団地にメガソーラーを建設した場合を考えると、必要な試験だろう。

*1) 国際規格と整合した太陽電池モジュールの性能認証規格とは、「JIS C 8990 地上設置の結晶シリコン太陽電池(PV)モジュール−設計適格性確認及び形式認証のための要求事項」「JIS C 8991 地上設置の薄膜太陽電池(PV)モジュール−設計適格性確認及び形式認証のための要求事項」と、安全性認証の規格「JIS C 8992-1 太陽電池モジュールの安全適格性確認−第1部:構造に関する要求事項」「JIS C 8992-2 太陽電池モジュールの安全適格性確認−第2部:試験に関する要求事項」である。

 だが、国際的な規格と国内の規格との違いはほぼ塩害に関係した部分に限られる。それ以外の試験は二重になっており、負担が大きい。

 経済産業省は2013年7月22日、日本工業規格(JIS)16件の制定・改正を発表した。太陽電池モジュールの塩害に関する規定があった「JIS C 8918 結晶系太陽電池モジュール」「JIS C 8939 薄膜太陽電池モジュール」の試験方法を変え、国際的な整合性を高めたという。関係するのは結晶系と薄膜系の太陽電池モジュール(図1)だ。

図1 対象となる結晶系と薄膜系の太陽電池モジュール。出典:経済産業省

 主な改正点は3つ。絶縁性能、機械的性能、耐候性だ。いずれも国際整合のために性能と試験方法を変更した。

 例えば耐候性については改正前に「JIS C 8917 結晶系太陽電池モジュールの環境試験方法及び耐久性試験方法」を引用する性能・試験方法を示していたのに対し、改正後は温度サイクル、耐熱・耐湿性、温湿度サイクル、耐光性については国際規格と整合したJIS C 8990を、耐塩水性についてはIEC 61701(Salt mist corrosion testing of photovoltaic (PV) modules)を引用する形に変えた。

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