ガスコージェネレーションが6%成長、企業はBCPに利用蓄電・発電機器

エネファームなどで広く使われている都市ガス利用のコージェネレーション。2012年度には家庭用の設置件数が2万5000件も増えた。しかし、総容量では家庭用は3%にすぎない。誰がコージェネレーションを引っ張っているのだろうか。日本ガス協会の調査結果を紹介する。

» 2013年07月29日 15時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 ガスなどの燃料を使い電力と熱(冷熱)を同時に得る「コージェネレーション」。家庭向けには燃料電池を利用した「エネファーム」やガスエンジンを利用した「エコウィル」として販売されている。コージェネレーションを使うと、熱だけ、電力だけを得るシステムよりも効率がよく、限られた燃料からより多くのエネルギーを引き出すことができる。

 日本ガス協会はコージェネレーションの導入実績を2013年7月に公開した*1)。対象は全国209の都市ガス事業者だ。燃料として都市ガスを用いたコージェネレーションを調査したことになる。

 コーネジェレーションの累計設置容量は2012年度(2012年4月〜2013年3月)末時点で481万9000kWに達しており、これは2011年度末に対して6.3%(28万4000kW)の増加にあたる(図1)。図1を見ると、3年程度累計設置容量があまり増えておらず、2012年度に急に伸びたことが読み取れる。「東日本大震災以降、企業が事業継続計画(BCP)などのために導入したためだ。業界別で見ると、機械工業や化学工業で伸びている。1拠点当たりの導入規模は中型や大型だ」(日本ガス協会)。

図1 都市ガスコージェネレーションの累計設置容量。出典:日本ガス協会

 設置件数では累計15万6558件に達し、2011年度末に対して19.3%(2万5278件)増加した。「件数に対して容量の伸びが少ないのは、家庭用の小出力の件数が多いためだ」(日本ガス協会)。

 今回の調査には業務用、産業用(工場用)、家庭用の3部門の設置先が含まれている。家庭用はガスエンジンか燃料電池を利用したシステムが導入されており、業務用と産業用はこの2つに加えてガスタービンも含む。

 それぞれの部門ごとの設置容量や設置件数を見ると、日本ガス協会の主張が正しいことが分かるだろう(図2)。業務用と産業用は累計6656件で2011年末から6.4%(398件)増加し、家庭用は累計14万9902件で、2011年末から19.9%(2万4880件)増えている。

 図2の下段にはガスコージェネレーションを含む全ての発電設備容量が比較のために示されている。データの出典は「電気事業便覧(平成24年版)」だ。2011年度末時点でガスコージェネレーションは全発電設備容量の1.59%を占めていることが分かる。これは同時期の太陽光発電システムよりも1桁大きな比率だ。

図2 部門別累計設置容量。出典:日本ガス協会

 なお、図2にあるGEはガスエンジン、GTはガスタービン、FCは燃料電池を意味している。

*1) 本文中の数値や図はスチームタービンを利用したコージェネレーションを含んでいない。

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