住宅用太陽光、新築は1年前と比べて16%増だが既築は43%減法制度・規制

経済産業省の補助金の執行団体である太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)は、2013年4月から6月の補助金受付件数を公開した。4月〜6月期は補助金の端境期となるため、例年件数が低く出る。しかし、前年同四半期比で見ても、新築が15.7%伸びたことに対し、既築は42.5%も減ってしまった。件数は既築の方が多いため、合計でも29.7%の減少だ。

» 2013年08月13日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 太陽光発電協会(JPEA)の一部門である太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)は、2013年8月、「住宅用太陽電池補助金」の申込受付件数を公開した。同補助金は個人が太陽光発電システムを設置する際に支援するよう、経済産業省が設けたものだ。今回公開された申込受付件数は2013年4〜6月(四半期)の数値である。

 J-PECは対象が新築か、既築かによって別々に件数を記録している。最も顕著な傾向は、新築向けが1万4139件と、前年同四半期(1万2223件)に比べて15.7%伸びていること。ところが既築は2万5020件と前年同四半期(4万3486件)に対して、42.5%も減少していることだ。これにより総数も29.7%減ってしまった。

 図1はJ-PECが発表した四半期ごとの数字を折れ線グラフにまとめたものだ。青が新築向け、オレンジが既築向け、黄色が合計だ。図1を見ると1〜3月に件数が増え、4〜6月に件数が減ることが分かる。

 このような傾向が生まれるのは補助金の対象期間が、ある年の4月から翌年の3月末となっており、翌年の4月には補助金の額が引き下げられるからだ。例えば、2012年度は1kW当たりの補助金単価が、1kW当たり3万5000円か、3万円だったが、2013年度は同2万円または1万5000円に減額されている。従って1月〜3月期に駆け込み需要が発生し、その反動で4月〜6月期は減少する。

図1 四半期ごとの件数の推移

 しかし、このような補助金の性格を考慮にいれても、2013年4〜6月の既築住宅向けの件数の減り方は大きすぎる。新築住宅には影響せず、既築住宅だけを抑える力が作用しているようだ。例えば、後ほど示すように既築の方が1kW当たりのシステム単価が高い。となると、補助金の減額に敏感に反応し、件数が低くなる可能性がある。

ほぼ全地域で既築が減少

 J-PECは47都道府県ごとに数値をまとめている。都道府県ごとに前年同四半期と比較すると、新築は74%(和歌山県)〜195%(新潟県)という分布を示した。既築は33%(東京都)〜102%(秋田県)だった。既築の件数が前年同四半期を超えたのは秋田県だけである。

 新築と既築の合計件数が1000件を超える15の都府県を抜き出してみると、全国の総数の62%を占めていた。この15都府県の傾向を見ると、新築では前年同四半期と比較して99%(茨城県)〜157%(東京都)という分布であり、既築では33%(東京都)〜84%(茨城県)だった。

 47都道府県の合計件数では既築の件数は新築の1.77倍だが、東京都のみ1倍を切る0.8倍だった。東京都の合計件数は1411件(全体の3.6%)にすぎないため、東京都が異常の原因というわけではないが、件数の多い愛知県や神奈川県でも似た傾向が見られた。

 なお、新築と既築の合計件数の上位は、愛知県(2832件)、埼玉県(2478件)、神奈川県(2027件)、千葉県(1752件)、福岡県(1662件)だった。

設置容量の平均は4.56kW

 J-PECは申込受付件数だけではなく、交付決定件数や設置容量、平均システム価格などの情報も公開している。

 それによれば、2013年4〜6月の期間、全国の平均設置容量は1件当たり新築が4.21kW、既築が4.77kW、合計で4.56kWだった。1kW当たりの平均システム価格は新築が40万3000円、既築が44万9000円、合計が43万2000円である。

 ただし、地域により設置容量はかなり異なる。新築では、3.71kW(神奈川県)〜5.19kW(島根県)、既築では4.25kW(神奈川県)〜6.11kW(沖縄県)となり、1戸当たりの屋根の面積にある程度比例しているようだ。例えば新築で容量が4kW以下となる都府県は、少ない順に神奈川県、京都府、兵庫県、東京都、大阪府である。

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