地層温度が280度を超える北海道の東部で、地熱発電の掘削調査が始まる自然エネルギー

洋上風力発電とともに将来の再生可能エネルギーとして大きな期待がかかる地熱発電の開発が全国各地で活発になってきた。新たに北海道東部の山岳地帯で掘削調査が始まった。2016年3月まで調査を続けた後、発電規模が15MW(メガワット)程度の地熱発電所の建設を目指す。

» 2013年08月27日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 掘削調査の実施地域。出典:石油資源開発

 掘削調査が始まった地域は、北海道の東端にある根室市に近い標津町(しべつちょう)である(図1)。成層火山の武佐岳(むさだけ)の周辺地域を対象に、地中深くにある地熱の貯留層などを約2年半かけて調査する計画だ。

 この調査は石油資源開発を中心に、三菱マテリアルと三菱ガス化学の3社が共同で実施する。調査用の「試錐井(しすいせい)」を合計3本掘る予定で、1本目の掘削作業を8月23日に開始した(図2)。掘削する深さは地下2300メートルに達して、11月中に完了する。

図2 試錐井の掘削現場。出典:石油資源開発

 武佐岳の周辺地域はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の調査などによって、地熱発電が可能な280度を超える地層温度を確認できている。今後の掘削調査を通じて、地熱の貯留層が地中にどのくらい広がっているかを把握したうえで、発電事業の可能性を判断する。現時点の想定では15MW(メガワット)程度の地熱発電を事業化できると見込んでいる。

 日本の地熱発電は膨大な潜在量がありながら、これまで開発プロジェクトは限定的だった。政府が将来の再生可能エネルギーの拡大に向けて、2012年度から段階的に地熱発電の規制緩和を開始した。最近になって石油・ガス関連の大手企業が相次いで事業化の調査に乗り出している。

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