東芝と東京電力の利害関係が一致、海外市場で送配電サービス提供へ電力供給サービス

海外の電力市場で求められている技術を持つ東芝と東京電力が合弁会社を設立した。当初は東芝のインフラ事業に対するエンジニアリング支援を中心に据えるものの、将来はコンサルティングや、保守・運営サービス事業などへ事業を広げていく計画だ。

» 2013年09月04日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 東芝は東京電力が2700万台配置するスマートメーターの通信システムを構築する。2013年5月に受注したものだ。東芝は既にスマートメーター市場で世界トップシェアのスイスLandis+Gyr(ランディス・ギア)を買収しており、スマートメーターから取得した消費電力情報を基にした新事業を国内外で展開したい。スマートメーター関連以外でも、変電技術、系統ソリューション技術に優位性を持つ。

 東京電力は2012年11月に発表した改革集中実施アクション・プランにおいて、海外に電力システムを輸出し、海外で収益を上げる目標を掲げている。系統計画や設計、運用、保守技術といった強みを海外で生かしたい。

 このため、2013年9月、両社は海外送配電分野における新会社「T.T.Network Infrastructure Japan」を設立した。資本金5000万円資本準備金5000万円であり、出資比率は東芝85.1%、東京電力14.9%だ。

先進国と新興国を両にらみで

 両社は海外市場を2つに分けて考えている。北米や欧州、オーストラリア*1)など先進国市場は再生エネルギーの大量導入によって、ITや蓄電池を用いた電力需要制御システムであるスマートグリッド導入へ進んでいる。そこでは送配電網とスマートメーターの組み合わせが重要だ。

*1) オーストラリアは国土面積に比べて人口が少なく、石炭を大量に産出する。このため、再生可能エネルギーの導入はそれほど進んでいない。2011年時点の一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率は4.0%(電力源の10.5%)だ。しかし、2020年までに再生可能エネルギーによる発電量を45TWh(450億kWh)まで増やす目標を策定するなど、化石燃料の比重を小さくする動きを見せている。

 東南アジアやインド、中南米などの新興国市場は様子が異なる。系統安定化技術など電力インフラ自体の強化が必要だ。

 合弁会社は、当初、東芝が海外で進行中のインフラ事業に対してエンジニアリング支援を進める。将来はコンサルティング業務やシステム供給、保守・運営サービス事業などこれまで東芝や東京電力が海外市場で手掛けてこなかった新事業へと展開する予定だ。

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