風車の修理から1年3カ月で落下、メーカーの設計に従わず主軸が破断蓄電・発電機器(1/2 ページ)

北海道の北西部にある苫前町で、9月5日(木)の早朝に1基の大型風車が落下した。1999年に運転を開始した20基の風力発電設備の1つだが、当時は強風も吹いていなかった。調査の結果、2012年に風車の主軸を修理した際に、メーカーの設計と違う構造で設置していたことが判明した。

» 2013年10月16日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 2013年に入って風車の落下事故が相次いでいる。9月5日(木)には北海道の日本海側にある苫前町(とままえちょう)で事故が発生した。日本各地で風力発電所や太陽光発電所を運営するユーラスエナジージャパンの「苫前グリーンヒルウインドパーク」で、20基ある風車のうち11号機が早朝の4時44分ごろに破損して落下した(図1)。

図1 「苫前グリーンヒルウインドパーク」の風車配置(画像をクリックすると拡大)。出典:ユーラスエナジージャパン

事故直前まで600kWで正常に発電

 ユーラス社によると、事故当時の風速は平常の8〜10メートル/秒程度であり、最近の風車落下事故で多い強風時の破損事故とは状況が違う。実際に落下したのは3枚の羽根を含む風車だけで(図2)、風車とつながる発電機は落下しないまま支柱の上に残っていた。

図2 風車の外形(左)と落下した風車の羽根(右)。出典:ユーラスエナジージャパン

 事故の直前までは風車が正常な回転を続けて、定格出力1MW(メガワット)に対して約600kWで発電していたことが記録に残っている。ところが4時44分になって過回転のアラームから始まり、続いて加速度異常、ブレード(羽根)の角度異常、制御油レベル/温度異常などの警報が出た。

 4時44分ごろに落下したとみられる11号機の風車は、直径が54メートルあった。地上に落下した大型風車の破損物が遠くまで飛散していないことから、強風による過回転が発生していた可能性は小さいと考えられる。

 風車は発電機とつながる主軸から垂直に破断した状態になっていた(図3)。ユーラス社の見解では典型的な「疲労破壊」の様相を示している。さらに破断した主軸の部分には3カ所以上で亀裂が見つかった。

図3 破断した主軸の断面。風車側(左)と発電機側(右)出典:ユーラスエナジージャパン
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