2006年から頑張ってきた太陽光、佐久市の組合が2MWの発電所も自然エネルギー

佐久市は太陽光発電事業の先進的な取り組みで知られている。2006年時点から企業などの屋根を利用した合計出力1MWの発電を続けているからだ。2013年11月には16の団体が共同で出力2MWのメガソーラーを立ち上げた。

» 2013年11月11日 15時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 長野県佐久市と発電所の位置

 長野県佐久市では複数の企業などが組合を作って太陽光発電の普及を推進している。まずは地元企業や公共施設の屋根に合計1MWのシステムを設置、2013年11月には出力2MWのメガソーラーも立ち上げた(図1)。

 取り組みを進めるのは14の地場企業と商工会議所、大学が加わる有限責任事業組合(LLP:Limited Liability Partnership)である「佐久咲くひまわり」*1)。早くも2006年に環境省のメガワット共同利用モデル事業に採択されている。1MWのシステムは2006〜2008年の3年間で構築したものだ。

リース方式のメガソーラーが立ち上がる

 佐久市は2012年10月、市が事業主体となる「佐久市メガソーラー発電事業」を発表。プロポーザル(提案)型の公募を実施した。全国的に見ても日照条件が良好な地域特性があるとして、6600Vの高圧で連系し、連系出力を2MW未満に抑えつつ年間発電量として215万kWh以上を求めた。公募の段階でリース事業(20年間、年間9000万円以下)という条件も付けた。

 2013年3月には「メガソーラー発電設備等一式借上業務」の契約を佐久咲くひまわりと締結。「佐久市メガソーラー発電所」(佐久市茂田井)の事業が動き始めた。

 発電所の工事は2013年4月に始まり、同年10月に完了(図2)。佐久市が所有する約6万2000m2の土地のうち、約4万1000m2に太陽電池モジュール9848枚を設置した。

 太陽電池モジュールからの直流出力は2.412MW、出力1.99MWのパワーコンディショナーに接続して、系統と高圧接続で連系している。想定年間発電量は約264万8000kWh。固定価格買取制度(FIT)を利用し、全量を中部電力に売電、1kWh当たりの買取価格は42円(税別)。

図2 着工前の土地の様子。出典:佐久市

組合がNTT2社と協力

 このメガソーラーの特徴は、土地を所有し、発電事業者である佐久市がリース契約で立ち上げたことだ。図3に発電所に関連する団体の関係を示した。黄色の矢印が金銭の流れ、青がサービスの流れだ。

 市と契約を結んだ佐久咲くひまわりは、施設のリースをNTTファイナンスに依頼。NTTファイナンスが図の点線内に描かれたNTTファシリティーズに設計・調達・建設(EPC)を再依頼した形だ。発電所の完成後は管理・運営(O&M)の実務も担当している。NTTファイナンスは発電設備を所有し、佐久咲くひまわりにリースする(図4)。佐久咲くひまわりは設備を佐久市に再リースした形だ。佐久市は発電事業者であり、売電収入を得ている。

図3 発電所に関する金銭とサービスの流れ。出典:NTTファシリティーズの資料を一部編集
図4 完成した佐久市メガソーラー発電所。出典:NTTファシリティーズ

*1) 佐久咲くひまわりに加わる団体は以下の通り。それぞれ、30〜140kWの太陽光発電所を設置している。AOB慧央グループ、NTTファシリティーズ、浅間ピストン、カウベルエンジニアリング、樫山金型工業、佐久商工会議所、佐久大学信州短期大学部、佐々木工業、サワイ、双信電機、蓼北金属、中川電機製作所、長野吉田工業、パスカル、丸信製作所、吉田工業。

【更新履歴】 2013年11月20日 図4を追加しました。

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