遊水池に浮かべるメガソーラー、野鳥と魚のために半分を残して建設スマートシティ

岡山県の笠岡市が市街地の遊水池にメガソーラーを誘致する。広さが2万6000平方メートルある対象区域のうち、半分をメガソーラー用に貸し付けて、残りの半分を野鳥や魚が生息するために残す方針だ。遊水池の機能を維持できるフロート式の太陽光発電設備を導入して環境保護を図る。

» 2013年11月19日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 笠岡市には瀬戸内海に面して広大な干拓地があり、2012年12月から1.75MW(メガワット)のメガソーラーが稼働している。その干拓地に隣接する市街地の一角にある遊水池にもメガソーラーを導入することを決めて、発電事業者の募集を開始した。

図1 メガソーラーを建設する「十一番町遊水池」(中央やや右にある長方形の区域)。出典:笠岡市政策部

 笠岡市の中心部から約2キロメートルの距離にある「十一番街遊水池」が候補地で、面積は約7万平方メートルの広さがある(図1)。このうち2万6000平方メートルの水面を貸付可能だが、実際に太陽光パネルを設置する面積は半分の1万3000平方メートルまでにとどめる(図2)。

 この遊水池は雨水の調整用に造られたものだが、野鳥や魚が生息していることから、生物の保護に配慮した。遊水池の機能を従来と変わらずに維持するため、太陽光パネルを水面に浮かせるフロート式を条件にする。それでも池の水質に影響を及ぼす懸念があることから、発電事業者には施工前と運転開始後も毎年1回の水質検査を義務づける。

図2 メガソーラーの建設可能区域。出典:笠岡市政策部

 用地の貸付料は1平方メートルあたり年間100円で、1万3000平方メートルを貸し付けた場合に笠岡市の収入は年間130万円になる。貸付期間は最長で21年。発電能力の条件は設定していないが、フロート式では埼玉県の桶川市で前例がある。

 桶川市では同様の調整池に日本で初めてフロート式のメガソーラーを建設して2013年7月に運転を開始した。1万2400平方メートルの水面に4500枚の太陽光パネルを設置して、1.18MWの発電能力を実現している。笠岡市のフロート式メガソーラーも設置スペースは同程度になり、1.2MW前後の発電能力を想定できる。

 笠岡市は11月21日に募集を締め切って、11月末までに事業者を決定する方針だ。12月初めには土地の賃借を含む事業の協定書を締結する考えで、2014年中にメガソーラーの運転開始を見込む。

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