風車に雷が落ちて火災発生、福井市の風力発電所で起きた破損事故自然エネルギー

2013年12月1日に福井市内の風力発電所で発生した火災・破損事故の原因は落雷だった可能性が大きくなった。発電所を運営する北陸電力が中間報告で明らかにした。ただし落雷を受けたとみられる主要部分が回収できておらず、詳しい事故の原因は6月末をめどに最終報告でまとめる。

» 2014年01月08日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 「国見岳風力発電所」の所在地。出典:北陸電力

 風車の火災・破損事故が発生した「国見岳(くにみだけ)風力発電所」は、福井市内の日本海側に近い標高656メートルの山頂付近に建てられている(図1)。直径52メートルの大型風車2基のうちの1基(2号機)で火災が発生して、3枚の羽根がすべて破損・落下した。

 発電所を運営する北陸電力が経済産業省に提出した中間報告によると、2013年12月1日(日)の午前9時24分に2号機の火災報知器が作動して、2分後に社員が現地で火災を確認している。それから2時間以上を経過した12時04分に、ようやく福井市臨海消防署が鎮火した。

 火災によって3枚の羽根(ブレード)のほかに、発電機を内蔵したナセルや、ブレードとナセルをつなぐハブも焼けてしまい、破損状態はひどい(図2)。ハブとナセルは支柱になるタワーの上部に破損したまま残っているが、事故から1カ月以上を経過した時点でも、安全に取り除くことができない状況にある。

図2 事故後の2号機(左)、タワーの上部に残ったハブ/ナセルの破損状況(右)。出典:北陸電力

 落下したブレードや空撮したハブ/ナセルの状態を分析した結果、落雷による火災が事故の原因になった可能性が大きい。ブレード、ハブ、ナセルのすべてが焼けて破損した状態になっていて、どの部分に落雷したかは特定できていない。

 ただし焼け方が最もひどい場所は、ハブからナセル前部にかけた風車の中心部分である(図3)。その中心部分に威力の大きな雷が落ちたのであれば、たった1回の落雷で致命的なダメージを受けたことが推測できる。

図3 事故機の外形と主要構造。出典:北陸電力

 北陸電力はハブとナセルを安全に地上に下ろす方法を検討中で、降下できれば原因の究明を進めることができる。それと並行して、落雷によって発火する可能性がある電気回路などを洗い出すことにしている。いつまでにハブとナセルを地上に下ろすことができるかにもよるが、6月末までに調査を終了して最終報告をまとめる予定だ。

 この事故が発生したわずか4日後には、北海道の風力発電所でも落雷が原因とみられる風車の破損・落下事故が起きている。2件の事故の原因を特定できれば、今後の落雷対策を強化することによって、他の風力発電所を含めて同様の事故防止につながる。早急かつ緻密な原因解明が求められる。

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