50億トンの石灰石を生かす工業、水力発電が必要な理由とは自然エネルギー

電気化学工業は新潟県糸魚川市にカーバイド製造を軸とした工場を置いている。製造には大量の安価な電力が必要であるため、15カ所の水力発電所を保有しているほどだ。2015年には新たに出力8000kWの水力発電所の建設を開始する。

» 2014年01月22日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 新潟県糸魚川(いといがわ)市と発電所の位置

 電気化学工業の青梅(おうみ)工場(新潟県糸魚川市)は、現在から93年前の1921年に操業を開始した歴史のある化学工場だ。立地は日本海にほど近く、敷地面積は64万7000m2と巨大。

 青梅工場が製造する化学製品は多岐にわたる。生石灰(CaO)とコークス(C)から作り上げた「カーバイド(炭化カルシウム、CaC2)」が軸となっており、カーバイドを水と反応させて作り出すアセチレン(C2H2)ガスを利用し、クロロプレンゴムも合成している。クロロプレンゴムは自動車部品などに欠かせないゴムだ。

 カーバイド製造に必要な原料の石灰石(CaCO3)は工場の南、約5kmにある黒姫山から調達できる。黒姫山は総量約50億トンの石灰石の塊だからだ。石灰石を石灰炉で焼成して生石灰を得、石炭から作ったコークスと反応させてカーバイドを合成する。

 ここで必要不可欠なのが大量の安価な電力だ。生石灰とコークスを反応させるには燃焼では得にくい2000度以上の高温条件が必要となるためだ。2種類の原料を電気炉で「焼いて」カーバイドを合成する。

 青梅工場の周囲には川に取水堰(せき)を設けて発電する流れ込み式水力発電所が15カ所もある(図2)。10カ所は自社保有(合計8万1200kW)、5カ所は北陸電力との共同出資会社が保有(合計6万6500kW)している。電気化学工業が自由に利用できるのは自社保有分と共同出資会社が保有する分の半数だ。従って11万4650kWとなる。

次の100年に向けた取り組み

 同社は石炭・カーバイド系事業の基盤をさらに強化しようとしている。2013年4月に公開した経営計画「DENKA100」では、電力の増強策としてメガソーラー2カ所*1)と水力発電所1カ所を挙げた。

*1) 2013年7月に同社の渋川工場(群馬県渋川市)と伊勢崎工場(同伊勢崎市)にメガソーラーを設置した。出力は合計3.2MW。

 2014年1月には新しい水力発電所の概要が決まった。約70億円を投じて、出力8000kW、推定年間発電量は2600万kWh規模とする。2015年に着工し、2018年4月に完成を予定する。運転開始後20年間は固定価格買取制度(FIT)を利用して全量を売電する形だ。

 青梅工場の脇を流れ下る青海川の上流にせきを設け、最大で毎秒4m3の水を取得、有効落差は200mである。なお、新水力発電所と青梅工場の中間には同社の青海川発電所(出力3300kW)も立地している。

図2 電気化学工業が保有する水力発電所の位置 出典:電気化学工業

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