住宅や店舗に設置するリチウムイオン蓄電池が、家電製品並みのデザインと価格帯で登場した。停電時でもテレビや照明、冷蔵庫などに2時間程度の電力供給が可能になる。さらに太陽光発電システムと組み合わせれば長時間の連続運転もできる。
いよいよ蓄電池が家電製品に近づいてきた。パナソニックが2月28日に発売する壁掛け型の新製品は、見た目がエアコンと変わらないデザインで作られている(図1)。大きさは60.5(幅)×35.0(高さ)×15.5(奥行き)センチメートルで、重さは約20キログラムに収まる。
価格も39万8000円(税抜き、工事費別)と安く、これまで住宅用のリチウムイオン蓄電池が100万円前後だったのと比べると半額以下になった。ただし蓄電できる容量は1kWhと小さめで、標準的な家庭が1日に使用する電力量(約10kWh)の10分の1程度である。
停電した時に一部の電気機器だけに電力を供給する場合を想定すると、住宅や小規模店舗で2時間が目安になる(図2)。蓄電池から電力を供給する機器をあらかじめ設定しておくと、停電から約5秒で自動的に切り替わって電力を供給することができる。1kWhの容量を再充電するのに通常で約6時間かかる。
太陽光発電システムと組み合わせて使うと、昼間に停電時間が長引いても電力の供給を続けることができる。太陽電池からの電力をパワーコンディショナー経由で受けて、蓄電しながら電力を供給する仕組みだ(図3)。
パナソニックが太陽光発電システムの購入者を対象に調査したところ、約4割が価格の高さを理由に蓄電池の導入を見送っていた。従来のような据え置き型では設置スペースの問題もあった。低価格で壁掛け型の蓄電池を投入することにより、太陽光発電システムを設置済みの住宅や店舗にも導入を促進する。
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