東京スカイツリーの開業で乗客数を伸ばしている東武鉄道が、太陽光発電の拡大にも積極的に乗り出した。2013年7月に民営鉄道で初めてのメガソーラーを栃木県で稼働させたのに続き、新たに沿線の5カ所に太陽光発電設備を建設する計画だ。発電規模は合計で5MW(メガワット)を超える。
東武鉄道は東京都心と関東北部を結ぶ路線を運営していて、最近では東京スカイツリーの最寄り駅があることで注目を集めている。沿線に広大な面積の土地や施設を保有していることから、資産の有効活用に向けて太陽光発電事業を拡大する。関東の各県にある遊休地と車両工場の屋根など5カ所に、合計5.25MW(メガワット)の発電設備を建設する計画だ(図1)。
5カ所のうち最大の規模は、埼玉県にある2万9000平方メートルの土地に建設する。東武東上線の森林公園駅に隣接する車両基地の南側に、2.3MW分の太陽光パネルを設置する予定だ(図2)。発電効率が高い単結晶シリコンの太陽電池を採用する。
このほかに同じ埼玉県内にある車両工場の屋根には、高温状態に強い薄膜タイプの太陽電池を設置して0.8MWの発電を可能にする(図3)。さらに栃木県にある2カ所の土地には価格が安い多結晶シリコン、千葉県の土地には単結晶シリコンの太陽電池を設置することで、3種類の太陽電池の特性を比較できるようにする考えだ。
5カ所の発電設備は6月から順次工事を開始して、今秋から来春にかけて運転を開始する。年間の発電量を合計すると570万kWhになる見込みで、一般家庭の電力使用量に換算して約1600世帯分に相当する規模になる。発電した電力は固定価格買取制度を通じて全量を売電する。年間の売電収入は2億円程度になる。
東武鉄道は民営鉄道で初めてのメガソーラーを2013年7月に、栃木県の葛生(くずう)駅に隣接する1万6000平方メートルの土地で稼働させた(図4)。単結晶シリコンの太陽電池で1.2MWの発電能力がある。今後さらにグループ全体で再生可能エネルギーによる発電事業を拡大する計画で、3種類の太陽電池を使い分けるノウハウも生かしていく。
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