生協が太陽光発電と新電力を組み合わせ、年間1000万円のコスト削減電力供給サービス

大阪府を拠点にする生協が新しい電力供給スキームを活用して電気代の削減に乗り出す。物流センターに設置した太陽光発電の電力を高い価格で売電しながら、新電力が供給する安い電力を利用する。26カ所の事業所に適用して、年間に約1000万円のコストを削減できる見通しだ。

» 2014年05月22日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 「大阪いずみ市民生活協同組合」は堺市を中心に、店舗や物流センターなど40カ所に事業所を展開している。このうち高圧の電力を利用する26カ所を対象に、6月1日から新しい電力供給スキームを導入する計画だ。電力代理購入サービスを提供するエナリスと契約して実施する。

 この電力供給スキームでは、いずみ市民生協が運営する太陽光発電設備の電力をエネリスが買い取る(図1)。エナリスは固定価格買取制度よりも高い価格で電力を買い取る一方、新電力から安い電力を購入して生協の各事業所に供給する。生協は価格差に応じて電気代を減らすことができ、26カ所の合計で年間に約1000万円のコスト削減を見込んでいる。

図1 太陽光発電を活用した電力供給スキーム。出典:大阪いずみ市民生活協同組合

 いずみ市民生協は大阪府内の2カ所で太陽光発電を実施している(図2)。物流センターの屋根に太陽光パネルを設置して、発電能力は2.3MW(メガワット)、年間の発電量は230万kWhになる。さらに2014年11月には奈良県でも1MWの太陽光発電設備を稼働させて、発電量を100万kW増やす予定だ。3カ所を合計すると年間の売電収入は1億円を超える。

図2 物流センターの屋根に設置した太陽光パネル。出典:大阪いずみ市民生活協同組合

 生協に電力を供給するエナリスは複数の新電力から調達するほか、不足分があれば関西電力から「部分供給」を受ける。部分供給の制度は電力システムを改革するための方策として、政府が2012年12月に具体的な指針を出したものの、これまでのところ適用例が少ない。いずみ市民生協が活用する電力供給スキームは先進的な事例になる。

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