エネルギー管理の大型補助金、190億円の予算で6月9日から公募補助金

2014年度の「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」が新しい方式でスタートする。従来は事業所や工場の設備を改修する場合にだけ適用できたが、今年度は電力需要のピークを抑制する設備の導入にも補助金を交付する。さらに48社の「エネマネ事業者」を認定して導入を促進する方針だ。

» 2014年06月04日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 これまでも政府は各種の補助金制度を実施して、企業のエネルギー管理体制の強化を図ってきた。しかし顕著な成果を上げることはできず、2014年度に再び新しい方式で大型の補助金制度を開始することにした。2013年度にも実施した「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」の適用範囲を大幅に拡張して、6月9日から7月1日まで申請を受け付ける。補助金の総額は190億円を予定している。

 従来の制度と比べて大きな変更点は2つある。第1に補助金の適用範囲を省エネのための設備の改修だけではなく、電力需要のピークを抑制するための設備まで広げた。これにより蓄電池や自家発電設備も補助金の対象に含めることができる。

 第2の変更点はEMS(エネルギー管理システム)の導入を促進するために、支援サービスを提供する「エネマネ事業者」を活用できるようにしたことである。エネマネ事業者に委託した場合には、補助率が通常の3分の1から2分の1に引き上げられる。

 この2つの変更点により、補助金の申請パターンは従来の1種類から8種類に増えた(図1)。いずれの場合も省エネ効果は1%以上、ピーク抑制効果は5%以上になることなどが申請の条件になる。

図1 補助金の申請パターンと条件(画像をクリックすると拡大)。出典:環境共創イニシアチブ

 補助金の上限は従来と変わらず1件あたり50億円と高額で、下限は100万円である。対象になる費用は設計費・設備費・工事費・諸経費の4項目だが、設備費にはEMSに必要な電力量センサーや監視用端末などの機器・装置類を加えることができる(図2)。

図2 補助金の対象範囲。出典:環境共創イニシアチブ

 設備の導入を支援するエネマネ事業者には、以前に実施したBEMS(ビル向けEMS)の補助金制度で認定を受けたアグリゲータを中心に48社が選ばれた。BEMSの補助金制度で最多の申請件数を上げたエナリスなどが含まれている。

 エネマネ事業者を活用すると補助率が2分の1に上がるが、EMSの導入契約と省エネ・ピーク対策の設備導入契約は分けて締結する必要がある(図3)。さらに設備の導入にあたっては、3社以上の競争入札を実施して最安値の会社を選ぶことが条件になる。

図3 「エネマネ事業者」を活用する場合の契約形態。出典:環境共創イニシアチブ

 この新しい制度は申請する立場から見ると、複雑すぎるきらいがある。政府がエネルギー管理の普及に向けて実施してきた補助金制度では、手続きや審査が面倒などの問題があって想定したほど利用件数が増えなかった。今回こそはハードルを低くして本来の目的を達成したいところである。

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