太陽光発電の認定設備144件が廃止・取消、さらに8月末までに拡大法制度・規制

固定価格買取制度の認定を受けながら土地や設備を確保できない案件が増加している問題で、経済産業省は5月末までに144件の太陽光発電の認定を廃止・取消処分に決定した。さらに1259件が8月末までに土地と設備を確保できないと認定取消の対象になる。

» 2014年06月20日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 2012年7月に固定価格買取制度が始まって以降、買取価格の高い太陽光発電の認定設備が急増して、建設に着手しないままの案件が数多く残されている。太陽光以外を含めた再生可能エネルギー全体で見ると、2014年3月末の時点で運転を開始した設備の比率は約5割である(図1)。

図1 固定価格買取制度の設備認定と運転開始状況(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 発電設備の規模が大きくなるほど、認定を受けてから運転を開始するまでに長期間が必要になるため、運転済みの設備が5割程度にとどまること自体は問題ではない。ただし認定を受けた設備の中には、長期間にわたって土地や設備を確保できていない案件が多くある。

 経済産業省は2012年度に認定を受けた太陽光発電設備のうち、出力が400kW以上の案件4699件を対象に2014年3月から聴聞を実施してきた。その結果、144件が5月末までに廃止か取消の処分を受けている(図2)。出力を合計すると29万kWで、1件あたり2MW(メガワット)になる。処分を受けた案件の大半が規模の大きいメガソーラーだったと考えられる。

図2 太陽光発電設備の聴聞・取消状況(2014年5月末時点)。出典:資源エネルギー庁

 さらに8月末までに土地と設備の確保を求められている案件が新たに288件(出力195万kW)加わった。同様の案件は3月末時点で971件(435万kW)にのぼっていて、合わせて1259件(630万kW)の処分が8月中に確定する状況だ。聴聞の対象になった4699件の出力を合計すると1332万kWで、最悪の場合には認定設備の規模が出力ベースで約半分に減少する。

 2013年度には2012年度を大幅に上回る数の設備が認定を受けている。未着手のまま認定の廃止・取消処分を受ける案件の増加が懸念される。経済産業省は防止策として2014年度から認定ルールを変更した。出力が50kW以上の太陽光発電設備は認定から180日以内に土地と設備を確保できないと権利が失効する。

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