雪が積もったら? もちろん下ろします――12MWの屋上太陽光電力供給サービス

カナダ企業の国内法人であるSolar Power Networkは、新潟県を中心に全国でホームセンターを展開するコメリから14カ所の屋根を借り、合計出力12MWの発電を始める。積雪量が多い地域の店舗を対象とするため、積雪を監視し、雪下ろしを含んだサービスとした。

» 2014年07月23日 13時30分 公開
[畑陽一郎,ITmedia]
図1 対象となるコメリ店舗の分布地域 赤印はパワー新発田店の位置

 カナダ企業の国内法人であるSolar Power Networkは公共機関や企業から建物の屋根を借り、太陽光に必要な全ての部材を自ら調達、建設、運営する発電ビジネスを進めている(関連記事)。屋根を貸す側は賃料のみを得る形だ。

 2014年7月には新潟県を中心に全国でホームセンターを展開するコメリから14店舗を賃借し、合計出力12MWの太陽光発電所を建設すると発表した。

 屋根を借りて太陽光発電を進めるためには、屋根を貸す側に不都合が生じないような工夫が必要だ。「今回対象となるコメリの店舗は福井県や新潟県、富山県、岩手県に立地する。いずれも積雪に備えなければならない地域である。そこで、太陽光発電用の設備と合わせて積雪モニタリングシステムを導入し、屋根の耐荷重との関係を見ながら、当社側で雪下ろしをする」(SPN、図1)。屋根上の太陽電池モジュールをほぼ水平に設置するため、雪下ろしは不可欠な条件なのだという。

 コメリが屋根を補修する場合には太陽光発電関連の機材を無償で取り外し、再設置する条件も付けた*1)

 通常時は固定価格買取制度(FIT)を利用して各地域の電力会社にSPNが全て売電する。「非常時には一部の電力を店舗内部で利用できるようにするため、小型のパワーコンディショナーも取り付ける」(SPN)。

*1) 太陽光発電とは無関係な問題が屋根に生じた場合、屋根の補修期間中、SPNが太陽電池を取り外して再設置する。1カ所当たり4回まで無償で対応する。コメリが屋根全体をふき替える場合も、1回は無償対応する。

店舗屋根の全面を利用

 図2はコメリの「パワー新発田(しばた)店」(新潟県新発田市舟入)に設備を設置した後の予想図だ。店舗の売り場面積は約1万6000m2。屋根上のほぼ全面を利用することが分かる。

 2015年初頭から各店舗への設置工事を始め、2015年末までに全店舗で運転を開始する予定。全店舗を合計した年間発電量として13.2MWhを予定する。これは二酸化炭素削減量に換算して、年間27万トンに相当するという。

図2 コメリのパワー新発田店の外観(設置後の予想図) 出典:SPN

 なお、コメリは自社が資金を投じ、運営する形の太陽光発電事業を既に開始している。2013年4月には4カ所の流通センター(倉庫)の屋根の屋根を利用した3.3MWの発電の計画を発表。2014年4月には店舗の屋根を利用した太陽光発電買電事業を開始すると発表しており、12店舗と合わせて合計出力9.2MWを目指す計画だ(関連記事)。なお、コメリが自社で展開する地域*2)と、SPNが設置を予定する地域は重複していない。

*2) 宮城県と千葉県、滋賀県、奈良県、和歌山県、愛媛県、福岡県、佐賀県、熊本県の店舗に設置する。

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