神鋼環境ソリューションが培養する新規株*3)はバイオ燃料として有望と考えられている株と比較して、バイオマス生産性が2倍以上であることを2013年時点で確認しており、1m3培養槽でも、このバイオマス生産量を維持できているという。
ユーグレナが生み出す物質のうち、比率が高いものがパラミロンだ(図2)。グルコース(ブドウ糖)が結合した多糖類と呼ばれる種類の物質である*4)。バイオマス乾燥重量当たり70〜80%のパラミロンを蓄積する培養条件も確立できたとする。2015年度に計画する10m3の培養槽は、完成すると世界最大レベルのパラミロン製造設備になるという。
ユーグレナを溶存酸素のない嫌気状態に置くとパラミロンを細胞内で分解し、ワックスエステル(油脂成分)を作り出す。このワックスエステルがバイオ燃料の元になる。石炭と同程度の燃焼カロリーが得られるという。「細胞内に蓄積するワックスエステルは細胞重量の4〜5割に達する」(同社)。
「今後の研究課題は複数ある。培養規模を拡大する他、より培養速度を高め、生成物の品質を向上すること、培養に必要な栄養のコストを削減することだ。ワックスエステルを取り出した残りの部分の有効利用法も探る」(同社)。
*3) 微生物の培養系統を株と呼ぶ。本文で比較の対象となっているのは、ユーグレナ・グラシリスZ株(国立環境研究所保存株:NIES-48)。
*4) 植物が作り出すデンプンやセルロースも多数のグルコースが結合した物質である。結合の位置によってでき上がる物質が変わる。パラミロンはβ1-3結合でグルコースが結び付いている。
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