パチンパチンとはめていく、太陽電池設置の手間が半分に蓄電・発電機器(1/3 ページ)

エクソルは2014年10月、設置工事の工期短縮に役立つ太陽光発電所向けの架台「XSOL RACK(エクソルラック)」と、同架台に適合する太陽電池モジュールを発売した。太陽電池モジュールの固定と結線を同時に行えるため、太陽電池まわりの作業量が2分の1に減ることが特徴だ。さらに架台のための基礎工事も不要にした。

» 2014年10月24日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 エクソルは2014年10月、太陽光発電所において、設置工事の工期短縮に役立つ架台「XSOL RACK(エクソルラック)」と、同架台に適合する太陽電池モジュールを発売した(図1)。

 「立地や規模によって多少変動するものの、材料(架台・太陽電池モジュール)と工事費を含み、費用は出力1kW当たり23万円になる」(同社)。これは通常の架台と太陽電池モジュールを組み合わせて利用した場合と比較して高額ではない。

図1 「XSOL RACK」の外観(クリックで拡大) 出典:エクソル

 「XSOL RACK用は2種類あり、太陽電池モジュールの設置数が違う。縦置き3段6列のものと、縦置き3段3列がある。これ以外の設置数(カスタマイズ)には対応していない」(同社)。

工期短縮が最大の特徴

 「XSOL RACKを採用したとき、出力1MW級の太陽光発電所の場合、工期は2週間。工事に当たる人員は延べ383人である」(エクソル)*1)。これは架台に太陽電池モジュールを設置する際、なるべく手間が掛からない構造を採用したためだ。「太陽電池モジュール設置に要する人員の数は従来品の組み合わせを用いた場合と比較して、約2分の1になる」(同社)。

 架台の設置自体に掛かる手間も少ない。「架台に含まれる溶融亜鉛めっき鋼製の杭柱(Q235B)を地面から垂直に打ち込んで使うため、基礎工事は不要だ」(同社)。

 杭柱以外の部分は全てアルミニウム製である。耐塩害性能にも優れており、海岸から500m以上離れていれば設置可能だという。

*1) 土木・排水などの土地造成工事やパワーコンディショナーやキュービクルの設置を含まない。架台と太陽電池モジュールの設置工程の数字である。

施工性が高く、ワンタッチ設置が可能

 工事に人手があまり掛からず、工期が短くなる理由は、電気的な接続のためのコネクタを内蔵した架台と、裏面にコネクタが付いた太陽電池モジュールを組み合わせたためだ。

 一般的な太陽電池モジュールは、裏面に数cm角の端子ボックスを1つ備えている。端子ボックスからは長さ1m程度の2本の電気ケーブルが伸びている。架台にモジュールを設置後、ケーブルを隣の太陽電池モジュールから伸びたケーブルとつなぎ合わせる電気配線工事が必要だ。さらにケーブルの垂れ下がりを防ぐために架台の横レール(桁)にケーブルを結束しなくてはならない。

 図2には2枚の太陽電池モジュールの背面が写っており、端子ボックスも2つ見える。黒いケーブルを黒いヒモで架台の横レールに結び付けてある。

図2 従来の架台と太陽電池モジュールの組み合わせ 出典:エクソル

 XSOL RACKと対応する太陽電池モジュールを組み合わせて使うと、ケーブル関連の工事が大幅に減る。太陽電池モジュールは端子ボックスやケーブルを備えていない。架台と太陽電池モジュールのコネクタ同士がかみ合うことで電気的な接続が完了する。コネクタ間をつなぐ延長ケーブルは架台の横レールの内部を通るため、ケーブルを結束する作業も不要だ(図3)。「従来型の組み合わせであれば、設置作業者と配線作業者の2人が組みになって作業していた。これを1人でこなすことができる。作業に対する熟練度も要求されない」(同社)。ケーブルに傷が付く可能性はほぼなくなる。「ただし、電気配線工事などでは有資格者が必要だ」(同社)。

図3 XSOL RACK採用時の組み合わせ 出典:エクソル

 架台の端部からは次の架台に向かってケーブルを利用するため、一部のケーブル関連の工事が残る。それでも図4に示したように、3段6列の場合は15組のケーブル工事を省略できる。

図4 ケーブルが露出していないXSOL RACKの背面 出典:エクソル
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