太陽光の新規買取はどうなる、政府調査会の議論が明らかに電力供給サービス(2/4 ページ)

» 2014年10月24日 21時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

再生可能エネルギーの導入量を増やすために何ができるのか

 系統WGの目標は再生可能エネルギーの最大限の拡大だ。エネルギー基本計画にある「2013年から3年程度、(再生可能エネルギーの)導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく」という方針に沿っている。

 そのため、主に2つの施策を集中的に検討する。接続可能量の検証と接続可能量の拡大だ。

図3 系統WGの検討事項(クリックで拡大) 出典:資源エネルギー庁

 ある電力会社に導入できる再生可能エネルギーの最大量を見積もることは容易ではない。図2では「設備認定量>低負荷電力需要」という式を示した。だが、ある設備認定量(kW)から生まれる電力量(kWh)は時々刻々と変わる。これが図3にある最初のチェックマークの意味だ。

 2番目と3番目のチェックマークの意味はこうだ。太陽光の出力が増加したときに、火力などの出力を絞って対応するという対策があるものの、どのぐらい素早く調整すればよいのかは場合によって異なる。火力といっても調整力が大きなもの、小さなものが混在している。

 図3にある地域間連系線の活用状況の検証とは、こういうことだ。例えば九州電力は中国電力と連系線でつながっている。九州電力であふれた電力を中国電力管内の需要で調整できる可能性がある。このことは系統WGの議論が始まる何年も前から分かっており、例えば東京電力の調整力を北海道電力と東北電力が個別に利用する実証実験を進めている(関連記事5)。

 1番目の検討事項(接続可能量の検証)は、議論の前提条件が正しいのかどうかを議論する形だ。それに対して、2番目の検討事項(接続可能量の拡大)は、対応策の立案に近い。

 効果が高く、費用が掛からず、比較的短期間で実現できる拡大策が望ましい。図3にあるように拡大策は大きく3つある。1番目にある運用の見直しとは既存の設備をより効率良く使うというもの。比較的短期間で実現できそうだ。2番目にある設備の増強は高い効果が期待できそうだが、費用が掛かる。短期間では実現できそうにない。3番目は再生可能エネルギーの先進諸国が取り組んでいる手法を含む。

地域ごとに対応を変えてもよい

 このような系統WGの枠組みの中で、第1回の系統WGでは図3の1番目の検討事項に相当する「接続可能量の算定方法についての基本的考え方」を取り上げた。

 第1回では資源エネルギー庁が作成した14ページの資料「再生可能エネルギーの接続可能量の算定方法に関する基本的考え方について(案)」に自由討議の議論が集中した。新たな方針を提案する形になっており、同庁が「本WGとしての結論を示すものではない」と断り書きを入れているほどだ。

 系統WGの議論の進め方は、(案)によればこうだ。第1回で基本的な考え方を整理し、第2回で考え方に基づいて各電力会社が採用する算定方法を検証する。第3回では算定方法に基づいて接続可能量を算定、検証する形だ。並行して接続可能量の拡大方策を整理するという。接続可能量の拡大については、実行プランを決めるというよりも、可能性を示す段階にとどまる可能性がある。

 それでも系統WGの議論には意味がある。なぜなら検証にあたっての基本的な考え方によれば、太陽光発電事業者や個人の参考になるデータが明らかになるからだ。「算定に用いた需要や発電設備のスペック等については、データや技術的な根拠を示す」としている。

 さらに九州電力などの電力会社に対して「必要に応じてエリア毎に異なる想定も許容する」とした。電力会社から合理的な根拠が示されれば、需要や地域性を考慮した想定が可能だということだ。これも今までにない取り組みだ。

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