太陽光の新規買取はどうなる、政府調査会の議論が明らかに電力供給サービス(3/4 ページ)

» 2014年10月24日 21時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

5つのステップを踏んで接続可能量を計算

 接続可能量を算定する手法をイメージとして表現したものが、図4だ。ステップ1では需給解析の前提となる断面(時間幅)を決める。1年間(8760時間)のうちの個別の1時間と、受け入れ可能量が特に減る低負荷期の1日(24時間)を検討する。基本は8760時間だ。

 ステップ2では時間ごとの需要想定(赤い実線)を決める。実績(単年度、複数年度平均)、将来(ある年度)が対象になりうるものの、系統WGでは需要実績を対象にすることとした。将来の需要減少の可能性が理由だ。2013年度実績を基本とする。

 この案については委員から反論となるコメントがあった。予測を含めることが、接続可能量の算定に当たって最も改善できる点なのだという。

 ステップ3では時間ごとにいわゆるベースロード電源の出力を決める。一般水力と原子力、地熱、石炭火力が対象だ。石炭火力以外は柔軟な出力調整をせず、「可能な限り運転すること」とした。震災前の過去30年間の設備利用率平均×設備容量で計算する。

 委員からは一般水力に含まれるダム式水力には調整能力があるのだから、(案)の考え方は狭いというコメントがあった。

図4 接続可能量を算定する手法(クリックで拡大) 出典:資源エネルギー庁

 ステップ4が難しい。変動しやすい再生可能エネルギー(太陽光・風力)の出力を推定する必要があるからだ。風力では、各電力会社が保有する実績データを用いる方針が示された。その際、個々の風車ではなく、エリア全体の出力を足し合わせることで「平滑化効果」を見込んだものにする。出力の最大値を求める際に、年間値ではなく、月間値を用いる。時間帯ごとの出力は評価しない、過大評価とならないように2σ*5)評価とするという提案があった。

*5) データのばらつきが正規分布に従うとき、標準偏差の2倍までのデータを用いる手法。全データの95%が対象になるため、極端に高い(低い)データを無視する形になる。

 ヒアリング団体からは風力と太陽光を同じように扱うことに対する不満のコメントがあった。「風力については、各社の公表している接続可能量をベースで算定しているが、各社合計では500万kW程度。太陽光はその10倍以上となっており、アンバランス。太陽光だけで無く、再生エネ全体でバランスを見て欲しい」というコメントだ。

 太陽光では各地区の時間ごとの出力を合成して評価する。過去の実績を用い、2σ評価をする点では風力と同じだ。ただし、低圧連系と高圧連系のものは実際の出力を把握することが難しいとした。このため、気象庁の日照データなどを用いた計算値を出力値として使うという。

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