石油設備をメガソーラーへ転換、全国14カ所に拡大するJXグループ自然エネルギー

全国各地に大規模な設備や広大な土地を所有する石油会社が発電設備の増強を急いでいる。最大手のJXグループは太陽光と火力を中心に発電所を拡大中で、新たに4カ所でメガソーラーの建設を決めた。すでに運転・建設中のメガソーラーを加えて合計14カ所に35MWの太陽光発電を展開する。

» 2014年11月27日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 JXグループの中核を担うJX日鉱日石エネルギーは2015年度に全国4カ所でメガソーラーを新設する計画だ。いずれもグループが所有する遊休地を活用したもので、秋田・茨城・埼玉・広島の4県にある油槽所などの跡地に建設する。4カ所を合わせると発電能力は6.9MW(メガワット)になる。

 これまでにも油槽所の跡地などを利用して6カ所のメガソーラーを稼働させたほか、さらに4カ所でメガソーラーの建設を進めている(図1)。新設する4カ所を加えると合計で14カ所になり、発電能力は34.3MWに拡大する。2013年2月に第1号のメガソーラーを宮城県で運転開始してから、わずか3年で各地の石油設備を一気にメガソーラーへ転換する。

図1 運転中・建設中のメガソーラー。出典:JX日鉱日石エネルギー

 運転中のメガソーラーで2014年9月に稼働したばかりの「下松(くだまつ)第2メガソーラー発電所」は、山口県の沿岸部にあった製油所の跡地に建設した(図2)。近くには中国電力の石油火力発電所が運転中だ。

図2 「下松第2メガソーラー発電所」の全景。出典:JX日鉱日石エネルギー

 建設中のメガソーラーを含めると、沖縄県の「うるまメガソーラー発電所」が12MWの発電能力で最大である。JX日鉱日石エネルギーとコスモ石油が共同で運営する「沖縄石油基地」にある16万平方メートルの遊休地を活用する(図3)。2015年3月に運転を開始する予定で、沖縄県内で最大のメガソーラーになる。

図3 「うるまメガソーラー発電所」の建設予定地。出典:沖縄石油基地

 このほかに岡山県や茨城県にある製油所の構内では火力発電所の建設も進めている。すでに新電力として電力の小売を開始しており、発電設備を増強して小売事業の拡大に備える狙いだ。同業の昭和シェル石油も太陽光やバイオマスを中心に再生可能エネルギーの発電設備を全国で拡大している。市場が縮小する石油から電力や水素へエネルギー事業の転換を急ぐ。

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