コンビニと結び付く水素、電力の5割を賄う未来電気自動車

岩谷産業とセブン-イレブン・ジャパンは2015年秋までに水素ステーションを併設したコンビニ店舗を2カ所に立ち上げる。国内初の取り組みだ。コンビニ店舗側でも水素を利用して電力の5割を賄う目標を打ち出した。

» 2014年12月11日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 岩谷産業とセブン-イレブン・ジャパンは2014年12月10日、水素ステーションとセブン-イレブンの併設店舗を展開することについて、包括合意書を締結したと発表した。

 「2015年秋までに東京都内と愛知県刈谷市に併設店舗を合計2店舗立ち上げる。幹線道路沿いなどの立地を考えている」(岩谷産業)。「水素ステーションはまだまだ不足しているため、2015年度から3年間で、10〜20の併設店舗を立ち上げたい。東京都や愛知県以外も視野に入る」(セブン-イレブン・ジャパン)。

 「東京都や愛知県の併設店舗は巨大店舗ではなく、当社の通常店、標準店だ」(同社)。図1は、当初立ち上げる店舗のイメージである。

図1 併設店舗のイメージ 左側の建物が店舗、右側が水素ステーション。出典:岩谷産業

コンビニも水素で電力を生み出す

 今回の合意では、水素ステーションだけでなく、セブン-イレブン店舗内でも水素を使う。「当社や東芝などが開発中の純水素型燃料電池を1台導入して、環境負荷低減に関する実証実験を進める」(岩谷産業)。純水素型燃料電池の出力は0.7kWであり、店舗の電力を賄うためには少ないものの、導入規模拡大も狙う。「実証実験を進める中で、店舗の消費電力のうち5割を賄うように進めたい」(セブン-イレブン・ジャパン)。

 岩谷産業と東芝、長府工産、山口リキッドハイドロジェンの4社は純水素型燃料電池システムの研究開発を2014年8月に開始している(関連記事)。2014年12月から、山口県周南市など各地の商用水素ステーションに順次設置する計画であり、今回の合意によって、設置の幅が広がることになる。

水素ステーションの能力も劣らない

 店舗に併設する水素ステーションは、岩谷産業が展開する他のステーションと似ている。ステーション外部から液体水素*1)を運び入れるオフサイト式であり、ステーション内に蓄えた水素を1時間当たり300Nm3、燃料電池車に供給可能だ。

 一般高圧ガス保安規則などの法規制は今回の合意にどのような影響を与えるのだろうか。「現在の法規制が全く緩和されなかったとしても2店舗に併設できる。ただし、緩和があればより容易に(低コストで)併設が可能だ」(岩谷産業)。

*1) 岩谷産業によれば、水素の市場シェアのうち、同社が約6割を占めており、液体水素に限ればシェアは100%だという。

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