関西電力の値上げ率は10%超、全国で最高水準の料金に電力供給サービス

関西電力が2015年4月から適用する電気料金の新単価を公表した。家庭向けが10.23%、企業向けは13.93%の値上げ率になる。これにより関西電力の単価は再値上げを実施した北海道電力と並んで全国で最も高い水準になる見通しだ。顧客離れが加速して販売量が減るのは確実である。

» 2014年12月25日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 まず家庭向けの標準メニューである「従量電灯」の料金を地域別に比較してみる。従量電灯は月額固定の基本料金に加えて、月間の使用量に応じて課金する電力量料金の2本立てになっている。このうち関西電力が2015年4月に値上げするのは電力量料金の単価で、1kWhあたり2.48円(税込み)引き上げる予定だ。

 関西の単価は北海道と同等の水準になり、他の地域を大幅に上回る(図1)。3段目の料金は1kWhあたり33.57円で全国の最高額になる。東京よりも3円以上高く、最も安い北陸と比べると10円以上の差が生じる(図1)。これから経済産業大臣の認可を受けるまでに値上げ幅の縮小を求められるものの、それでも値上げ率にして1〜2ポイント程度の圧縮にとどまる見込みだ。

図1 家庭向けの「従量電灯」の料金。北海道電力と関西電力の新単価(赤字)は2015年4月から適用(関西電力の新単価は変更の可能性あり)

 企業向けの電力量料金の単価も1kWhあたり2.33〜2.38円を値上げする。関西電力は2013年5月に実施した値上げの時に、家庭向けが9.75%に対して企業向けを17.26%も引き上げている。今回の再値上げでも企業向けの値上げ率のほうが大きく、2度の値上げによって東京や北海道と同レベルの高い単価になる(図2)。

図2 企業向けの「業務用電力」の料金。北海道電力と関西電力の新単価(赤字)は2015年4月から適用(関西電力の新単価は変更の可能性あり)

 オフィスなどで標準的に使われる「業務用電力」の単価を比較すると、東京が最も高くて1kWhあたり19.37円である(2015年1月時点の夏季の単価)。これに対して関西の新単価を同じ条件で計算すると19.10円になって、一気に東京の水準に近づく。隣接する中部・北陸・中国の各地域と比べて2〜7円前後の開きが出る。企業や自治体が他の地域の電力会社や新電力へ契約を切り替えるケースは確実に増えていく。

 すでに関西電力の販売量は想定以上の落ち込みを見せている。再値上げを申請した12月24日に11月の販売電力量の実績も発表した。前年比で5.2%の大幅な減少で、9カ月連続の前年割れだ。年間では2013年度が1404億kWhだったのに対して、2014年度は1364億kWhに減る見込みである。この減少傾向が再値上げによって加速する懸念は大きい。

 それにもかかわらず、関西電力が値上げの申請にあたって想定した2015年度の販売電力量は1457億kWhへ大幅に増える。この前提をもとに新単価を決めて収益を見込んでいる(図3)。現実には販売電力量が計画どおりには増えず、売上が伸び悩んで収益の改善幅も縮小してしまうことが十分に想像できる。

図3  電源構成の変動による原価の増減額と単価の値上げ幅(税抜き)。出典:関西電力

 関西電力が再値上げの要因に挙げているのは原子力発電所の再稼働が遅れたことによって、火力発電の燃料費が増加したことである。2015年度には他社から購入する電力を含めて年間に3240億円のコストが増加する。その中には原子力の高浜発電所3・4号機が2015年11月に再稼働することによるコスト削減効果を織り込んでいる。再稼働の時期が遅れると、さらに収益は想定よりも悪化することになる。

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