プレシードは2015年1月28日、熊本県で出力10.4kWの風力発電所「風丸(かぜまる)」の通電式を開催、売電を開始した。10kW級の小形風力発電機を系統連系し、固定価格買取制度(FIT)を利用して電力会社に売電する事例としては国内初だという。
工場生産装置の設計・製作に取り組むプレシードは2015年1月28日、熊本県で出力10.4kWの風力発電所「風丸(かぜまる)」(上天草市松島)の通電式を開催、売電を開始した(図1)。10kW級の小形風力発電機を系統連系し、固定価格買取制度(FIT)を利用して電力会社に売電する事例としては国内初だという(関連記事)。
同社は米XZERES Windと提携、共同出資により日本法人であるエグザラス・ウィンド・ジャパンを設立済みだ*1)。
「今回はXZERES Windの10kW級風車を利用したパイロット事例だ。今後は全国、特に(風況のよい)北海道や東北地方に向けてシステムを販売する。風丸と同じ規模であれば、工事は1.5〜2カ月で完了する(図2)。太陽光発電所と同程度の期間だ。電力会社への接続検討の申し込みや、経済産業省への設備認定手続きを並行して進めることで、効率良く風力発電設備を立ち上げることができる」(同社)。
*1) 2014年9月には今回採用した10kW級の発電機の認証を日本海事協会から取得。エグザラス・ウィンド・ジャパンが日本総代理店として小形風力発電機を販売している。XZERES Windの小形風力発電機は全世界に約1万機設置されている。
天草上島北東部の海岸沿いに位置する日本冷熱天草工場の敷地の一部を借りて、風丸を立ち上げた。「総投資額は約1500万円。想定年間発電量は2万2000kWh。固定価格買取制度を利用して、九州電力に売電する。出力が20kW未満であるため、買取価格は55円(税別)だ」(同社)。単純計算では20年間の売電額は2420万円(税別)となる*2)。
風丸に利用した風力発電機は、水平軸型3枚羽根固定ピッチ式の「XZERES 442SR」(図3)。ローター直径は7.2mある。ピーク出力は12.2kW。定格出力は10.4kW(風速11m/秒)。発電を開始するカットイン風速は2.2m/秒。
*2) 環境省が発表した「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」(2011年4月)によれば、天草上島周辺の陸上風力の賦在量(風速)は、風速区分が5.5m/秒程度。東北地方や北海道地方よりも条件が厳しい。
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