スマートハウス×スマートメーターの効果、東京大学が実験住宅で検証開始エネルギー管理

全国の家庭を対象にスマートメーターの設置が始まり、今後は家電機器と連携したエネルギー管理も可能になる。東京大学はキャンパス内の実験住宅に設置したスマートメーターを使って、30分単位の電力使用量のデータをもとにピークカットの効果などを検証する。

» 2015年02月02日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 東京大学の生産技術研究所は東京・目黒区の駒場キャンパスに実験住宅の「COMMAハウス」を2011年8月に建設して、2020年に向けたスマートハウスの実証実験を続けている(図1)。新たに2015年1月から東京電力のスマートメーターと連携できる実験環境を構築して検証を開始した。

図1 実験住宅「COMMAハウス」の外観と設備。出典:東京大学生産技術研究所

 COMMAハウスは屋根に設置した太陽電池や太陽熱集熱器から電力と熱を供給するほか、蓄電池や自動開閉窓などを備えたスマートハウスである(図2)。さらに住宅内の家電機器とHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)は国内標準通信プロトコルの「ECHONET Lite」で連携できるようになっている。

図2 実証設備の構成とエネルギーの流れ。出典:東京大学生産技術研究所

 スマートメーターもECHONET LiteでHEMSと接続して、電力使用量のデータなどを無線で送信する(図3)。メーターの指針値を30分ごとに自動的にHEMSへ送り出し、HEMS側で前回との差分から30分単位の使用量を計算する仕組みである。

図3 スマートメーターとHEMSが連携する「Bルート」のデータ通信環境。出典:東京大学生産技術研究所

 ほぼリアルタイムに電力使用量を把握できるため、状況に応じて素早く家電機器を制御して使用量を抑制することができる。このほかにもHEMSからスマートメーターに指示を出して、瞬間の電流値や電力値を計測することも可能だ。

 COMMAハウスの実証実験は2016年3月まで続けて、3つのテーマで利用効果を検証する(図4)。第1のテーマは「系統貢献」で、スマートメーターとHEMSを中核に電力の需給調整力を向上させる。第2は「エネルギー・環境」の観点から、住宅の省エネ対策とCO2排出量の削減効果を検証する。

図4 実証実験の検証テーマと主な項目。出典:東京大学生産技術研究所

 さらに第3のテーマとして、スマートハウスの「QOL(Quality Of Life:生活の質)」を評価する。安心・安全面の向上をはじめ、快適で便利な住宅の実現を目指す。この分野でもスマートメーターの実測値は活用できる。東京大学はスマートメーターを使った実験環境を一般にも開放して、新しい用途を増やしていく方針だ。

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