電気トラックで宅配便、都心に5台を導入電気自動車

佐川急便は、2015年3月13日、大型複合施設が集積する東京都心部に向け、宅配便を中心としたグリーン物流を構築する目的で電気トラックを導入し、集配業務を開始したと発表した。

» 2015年03月18日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 佐川急便は、2015年3月13日、大型複合施設が集積する東京都心部において、宅配便を中心としたグリーン物流を構築する目的で電気トラックを導入し、集配業務を開始したと発表した。

図1 商用電気自動車「e-NV200」 出典:佐川急便

 導入したのは日産自動車が2014年10月に発売した「e-NV200」(図1)。5台導入した。従来のワンボックス車と比較して、低床であり、乗降性がよく、荷物の積み降ろしが容易だという(図2)。さらに後部座席に防災用の電源供給機能があるため、緊急時の電源として活用でき、BCP対策として役立つとした(関連記事)。

図2 荷物の積み降ろしが容易 出典:佐川急便

 千代田区大手町、丸の内、有楽町(大丸有地区)を担当する。「5台の電気トラックは江東区にある千代田営業所に属する。千代田営業所には充電設備があり、導入車両1台当たりの1日の走行距離は18kmであるため、夜間に充電しておけば、途中で充電の必要はない」(佐川急便)。

 今回の導入事例は、同社が2014年10月に発表した大丸有地区の物流コーディネート業務受託に沿った流れである。同社は「大丸有・神田地区等グリーン物流促進協議会」と「大丸有地区エリア集配実験実行部会」から同業務を受託しており、実行部会にも参加。2014年10月1日からエリア集配オペレーションシステムの構築*1)を開始し、2019年度末に完成を予定している。

*1) 計画中の物流システムは3階層からなる。まず、大丸有エリアから直線距離で6〜10km圏内の4か所にトランスファーセンター(TC)とディストリビューションセンター(DC)機能を備えた物流センターを開設し、大丸有エリア内の物流拠点に向けて搬送する物流ソリューションを構築。次に大丸有エリアに4カ所のエリア物流拠点を開設し、あらかじめTC・DCセンターでエリア仕分けした貨物を、4カ所の物流拠点からシャトル配送(当日配送)する。最後に大丸有エリア内に数棟〜数街区単位で物流サポート拠点を開設し、大丸有所定エリアへ台車や、小型電気自動車などの超小型モビリティで集配する。

大型の電気トラックが必要

 同社がこのような取り組みを進める理由は2つある。1つは多数の企業が相互に関係なく搬出入を行うと、ビル内のエレベーターはもちろん、周辺地域の物流環境が悪化することだ。これが大丸有地区の物流コーディネートにつながる。

 もう1つは低公害化が必要なこと。同社は2015年3月時点で約4000台の天然ガストラックを導入しており、これは世界有数の規模なのだという。天然ガストラックは通常のトラックと比較して二酸化炭素や窒素酸化物の排出量が少なく、PM2.5(微小粒子状物質)は全く排出しない。

 今回の5台の商用車は従来の天然ガストラックをさらに置き換える形で導入した。電気トラックは排ガスとは無縁だ。

 ただし、全ての天然ガストラックを電気トラックで置き換えることはまだできないのだという。輸送能力に課題がある。「今回導入したe-NV200は、ほとんどの天然ガストラックよりも積載量が少ない。2〜3トンクラスの電気トラックが市販されることを待っている段階だ」(同社)。同社は日産自動車が開発中の電気トラック「e-NT400テストトラック」の実証運行を2014年夏に2カ月間実施している(図3)。積載量は約1.5トン。

図3 e-NT400テストトラックの外観 出典:佐川急便

テーマ別記事一覧

 電気自動車   都市・地域 


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.