電力浪費が止まらぬ中小企業に対し、キヤノンが低価格な節電サービスを提供スマートオフィス

改正省エネ法などの省エネに関する法律はあるものの、中小企業に対しては規制する法律がなく節電が進んでいない。そこでキヤノンMJでは中小企業向けの低価格な節電コンサルティングサービスを開始した。

» 2015年05月28日 13時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 中小企業の省エネ対策の遅れがみられる中、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は中小規模事業者の電力コストを削減する節電支援サービス「節電コンシェルジュ」の提供を開始した(図1)。同社の本社ビルでは特別な設備投資をせずに「運用と見える化、社員の参画」によって、2003年のビル建設当時と比較して約40%の省エネと約2億3000万円のコストダウンを実現したという。こうした経験と多様なノウハウを活用して、中小規模事業所が電力コストを削減できる仕組みをサービスとして提供する。

図1 キヤノンMJが提供する「節電コンシェルジュ」の概要 出典:キヤノンMJ

 節電コンシェルジュは消費電力量の見える化に加え、コンサルタントによる既存設備の使用方法のアドバイスや個別の節電運用ルールの作成を支援するサービス。同サービスにより節電対策を行った後も、サポートセンターが節電状況の監視や節電施策の実施を支援するため、継続的な節電対策が行える。無料の事前診断を受けることが可能で、年間の電力コストの削減額や投資回収期間の予測を確認できるため、利用者は同サービスの導入可否を検討しやすいというメリットもある。

 初期導入費用は、電力計測器と通信端末一式、節電対策チャート書式(運用規定書)、標準設置作業、訪問コンサルティング(内覧・指導など/1回、4時間まで)などを合わせて税別50万円。クラウドサービスの利用やサポートセンターによる節電支援といったアフターサービスを利用するには税別で月額8000円が必要になる。

 キヤノンMJでは電力使用量の多い中小規模事業者を対象に、当初は東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を中心に直販網を活用して2020年までに1000事業所、売上高10億円を目指す方針だ。

 多くの中小企業は改正省エネ法などの法律で規制されていないことを主な理由に、節電やCO2排出量削減といった対策があまり進んでいないという現状がある。一方、ここ数年で業務用電力の電気料金が約30%上昇しているという背景もあり、こうした節電コンシェルジュのような省エネサービスの市場規模は2020年には200億円を超えるという予測もある。

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