「あわじ環境未来島構想」を推進する兵庫県の淡路島で、大規模なメガソーラーが運転を開始した。関西国際空港を埋め立てるための土砂を採取した跡地を利用して、年間に1万1000世帯分の電力を供給することができる。2050年に電力の自給率100%を目指す構想が大きく前進する。
関西で最大のメガソーラーが6月2日に淡路島で運転を開始した。東京電力と豊田通商が合弁で運営するユーラスエナジーグループの「ユーラス津名東(つなひがし)ソーラーパーク」である。面積が60万平方メートルもある広大な土地に、合計で15万枚を超える太陽光パネルを設置した(図1)。
発電能力は33.5MW(メガワット)に達する。年間の発電量は一般家庭の使用量(年間3600kWh=キロワット時)に換算して1万1000世帯分を見込んでいる。メガソーラーが立地する淡路市は島の北半分を占めていて、総世帯数は約2万世帯にのぼる。そのうちの半分以上の家庭の需要をカバーできる発電量になる。
メガソーラーを建設した用地は、島の東側の沿岸部に広がる「津名東生産団地」にある(図2)。この生産団地は1980年代の後半から1990年代の前半にかけて、関西国際空港の埋め立てに使う土砂を採取したところだ。採取後の跡地が長年にわたって使われないままになっていた。
淡路島では2011年12月から、地域の資源を有効に活用してエネルギーと食料を自給自足する「あわじ環境未来島構想」に取り組んでいる。エネルギーに関しては2011年に8%だった電力の自給率を2050年に100%まで引き上げることが目標だ。
島内の各地域で太陽光や風力による発電設備の導入を促進してきた(図3)。あわじ環境未来島構想の推進協議会によると、2014年度末の時点で電力の自給率は22%まで上昇している。津名東生産団地のメガソーラーも構想に合わせて建設したもので、運転開始によって自給率はさらに高まる。
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