島民が4億円を出資した太陽光発電所、300世帯分の電力を供給開始スマートシティ

瀬戸内海に浮かぶ淡路島の北端に、島民の出資による太陽光発電所が完成した。兵庫県が発行した総額4億円の「あわじ環境未来島債」を島民が購入して、県有地を使って発電所を建設・運営する方式だ。出力0.95MW(メガワット)の規模で3月中に運転を開始する。

» 2014年03月13日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 兵庫県の淡路島では2012年から「あわじ環境未来島構想」を掲げて、太陽光と風力を中心に再生可能エネルギーの発電設備を島内全域に展開している(図1)。その構想の一環で住民参加型の太陽光発電所を島の北端にある県有地に建設した。設置工事が完了して3月26日に運転を開始する予定だ。

図1 「あわじ環境未来島構想」の主な取り組み。出典:兵庫県企画県民部

 県立淡路島公園に隣接する1万4000平方メートルの敷地に、0.95(メガワット)の太陽光発電設備を設置した(図2)。年間の発電量は約100万kWhを見込み、一般家庭で300世帯分の電力を供給する能力がある。日本の国づくりが淡路島から始まったという「くにうみ神話」に基づいて、「くにうみ太陽光発電所」と名づけられた。

図2 「くにうみ太陽光発電所」の全景。出典:兵庫県企画県民部

 太陽光発電所を建設するにあたって、兵庫県は県民債を発行して市民の参加を募った。総額4億円の「あわじ環境未来島債」を1口5万円(上限200万円)で発行したところ、優先販売の対象になった淡路島の島民が全額を購入した。この県民債は5年後に元本と利息を一括償還する方式で、利率は国債と同等の年0.33%。購入件数は471件あって、平均購入額は85万円だった。

 兵庫県は県民債で集めた建設資金と県有地を一般財団法人の「淡路島くにうみ協会」に貸し付け、同協会が発電事業を運営する(図3)。発電した電力は全量を関西電力に売電して、その収益を出資者に還元するほか、地域の活性化にも役立てる方針だ。

図3 住民参加型の太陽光発電事業スキーム。出典:兵庫県企画県民部

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