市民参加型のメガソーラーを城下町に、地元企業38社が運営スマートシティ

地域の企業や住民が中心になって発電事業を推進する市民参加型のプロジェクトが全国各地に広がってきた。城下町で有名な神奈川県の小田原市では、市内の企業38社が共同で発電事業会社を設立して、市民からの出資を募ってメガソーラーの運営に乗り出す。

» 2014年01月29日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 神奈川県の南西部にある小田原市は相模湾に面していて、立地の良さから戦国時代に小田原城が築かれ、城下町として発展してきた。海産物が豊富で、かまぼこ屋や干物店が数多く集まる。そうした地域の商店を中心に、38社が共同で再生可能エネルギーによる発電事業を推進中だ。

 小田原市内の高台にある1万8000平方メートルの公共残土置場を利用して1MW(メガワット)のメガソーラーを建設する(図1)。さらに小学校の屋根などにも太陽光発電設備を設置して、合わせて1.1MWの発電事業を展開する計画だ。メガソーラーは2014年秋の運転開始を予定している。

図1 小田原市のメガソーラー建設予定地。出典:自然エネルギー市民ファンド

 38社は共同出資による発電事業会社の「ほうとくエネルギー」を2012年12月に設立して、事業化の検討を進めてきた。新たに開始するメガソーラー事業のための特別目的会社「ほうとくソーラー1」を通じて市民からの出資を募る(図2)。

 総額1億円の出資金を集めて、2016〜2023年度の8年間で元本の返還と利益の配分を完了する計画だ。ファンドの募集業務は東北を中心に市民参加型の発電プロジェクトを展開している「自然エネルギー市民ファンド」が担当する。

図2 市民ソーラーファンドのスキーム。出典:自然エネルギー市民ファンド

 山口県でも同様の事業スキームによる発電プロジェクトが始まっている。「市民エネルギーやまぐち」が県内の26カ所に太陽光発電設備を設置して、合計1.2MWの発電事業を2014年度から実施する。収益の一部は2013年7月に山口県と島根県を襲った豪雨の被災地に寄付することを決めている。

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