EVの“使用済み”バッテリーがドル箱へ、再生エネの導入拡大が後押しか電気自動車(2/3 ページ)

» 2015年07月14日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

使用済みバッテリーで出力制御を可能に

 近年、出力が不安定な太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用した発電設備の導入拡大に伴い、電力網の安定化に向けた蓄電システムの需要が増している。三菱自動車はEVの普及促進に注力しているフランスで、使用済みリチウムイオンバッテリーをこうした蓄電システムに活用する実証プロジェクトに取り組む。

 この実証は三菱自動車、三菱商事、フランス電力公社(以下、EDF)、EDFが出資する蓄電システム製造会社Forsee Power社(以下、Forsee)、フランスのPSAプジョー・シトロエン(以下PSA)による5社共同のプロジェクトだ(図3)。

図3 プロジェクトの概要 出典:三菱自動車

 系統電力に接続した太陽光発設備と、新品と使用済のリチウムイオンバッテリー、EV車両を利用した蓄電システムを連携させる。この実証システムは2015年9月にパリ郊外にあるForseeの新社屋設置する予定で、電力の一部はForseeが利用する。蓄電システムを用いた系統電力との運用最適化と、経済性の検証が目的だ。

 三菱自動車は今回の共同事業者であるPSAに、i-MiEVをベースとする欧州車向け車両をOEM供給しており、プジョー車は「iOn」、シトロエン車は「C-ZERO」という名称で2010年から発売している。今回の実証ではこの3台の使用済みリチウムイオンバッテリーを使用する計画だ。

 フランスは国家政策としてEVおよびPHVを、2020年までに200万台導入することを目標に掲げており、次世代車の普及促進に向け大規模な補助金政策と充電インフラの整備を進めている。こうした政策に加えガソリン税の引き上げなどもあり、EVやPHVを購入するユーザー数は拡大傾向にある。今回事業を行う5社は、フランスを中心とした欧州において使用済みリチウムイオンバッテリーを再利用した蓄電システムの事業化を検討していく方針だ。

 三菱自動車はこうした取り組みの他、使用済みのバッテリーとi-MiEVを家庭用の蓄電池として利用する「Vehicle to Home(V2H)」システムの実証も行っている(関連記事)。

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