EVの“使用済み”バッテリーがドル箱へ、再生エネの導入拡大が後押しか電気自動車(1/3 ページ)

電気自動車(EV)の普及拡大に伴い、使用済みバッテリーの処理方法は1つの課題だ。EVに注力する自動車メーカーはこうした使用済みバッテリーを、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い需要が増している蓄電システムに再利用する取り組みを進めている。

» 2015年07月14日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 CO2排出量の削減に向け、ガソリン車やディーゼル車に替わる次世代自動車の1つとして、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などの普及に向けた取り組みが世界各国で進んでいる。日本でも普及に欠かせない充電インフラの整備が進められている状況だ。しかしEVの販売台数が増えれば、廃車や劣化交換などで生まれる使用済みバッテリーの数も増加する。その活用方法は環境面からも1つの課題となるが、EVの展開に注力する自動車メーカーにとっては活用次第で新たな収益源となる可能性もある。

 HVなどを除き、現在、純粋なEVに注力してる国内自動車メーカーは日産自動車(以下、日産)と、三菱自動車工業(以下、三菱自動車)だろう。日産自動車(以下、日産)が「リーフ」を、三菱自動車が「i-MiEV」を個人向けに販売し始めたのは2010年(図1・2)だ。両車ともバッテリーにはリチウムイオンバッテリーを採用している。

 リチウムイオンバッテリーは、充放電を繰り返すと次第に電池容量が下がっていく。EVの場合は電池容量が1充電当たりの走行距離に直結するため、電池容量が70%に下がった時点で「寿命」と見なす場合が多い。

図1 日産の「リーフ」/図2 三菱自動車の「i-MiEV」出典:日産、三菱自動車

 リーフ、i-MiEVも発売から約5年が経過しており、乗り方や環境によって差はあるものの、電池両量の低下から第1世代車のバッテリー交換を考えるユーザーも増え始めるころだろう。既に北米日産はリーフのバッテリー交換価格を5499米ドルと発表。一方、三菱自動車はメーカー保証の5年を経過したi-MiEVについては、走行距離などの複数の条件付きでバッテリー交換費用の一部を補助している。今後数年の間に使用済みバッテリーの量は急速に拡大するだろう。

 トヨタやホンダのようにHVではなく、“純EV”に注力してきた日産と三菱自動車は、こうした購入者へのサポートを進めるとともに、今後さらなる増加かが見込まれる使用済みリチウムイオンバッテリーの活用および事業化に向けた取り組みにも注力している。「使用済み」といっても、先述した通りこれらのバッテリーにはまだ70%程度の電池容量がある。そのためさまざまな用途で十分に活用することが可能なのだ。

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