水素で動く「都営バス」の実現へ、2020年東京五輪に向け実証開始電気自動車(1/2 ページ)

2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」に向け水素インフラの拡充を進めている東京都で、水素で走る燃料電池バスの走行実証が始まる。実証を重ね、2020年のオリンピックでは選手村や会場への輸送手段として燃料電池バスを利用したい考えだ。

» 2015年07月23日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 2020年に開催される「東京オリンピック・パラリンピック」に向け、日本各地で水素インフラの整備が進んでいる。政府は2020年に同オリンピックが開催された際に、世界に向け「水素社会」の価値をアピールする狙いだ(関連記事)。

 東京都はこうした政府の動きに伴い、2020年までに水素ステーションを都内に35カ所整備し、燃料電池車(FCV)を6000台普及させるという戦略目標を掲げている。さらに2020年までに、水素で走る燃料電池バスも計画的に導入する方針で、この計画に向け2015年7月27〜30日(土日を除く)に都内で走行実証を行う。

 使用する燃料電池バスはトヨタ自動車(以下、トヨタ)と日野自動車(以下、日野)が開発した「トヨタ FC BUS」(以下、FCバス)1台だ。(図1)。FCバスは日野のハイブリッドノンステップ路線バスをベースに、トヨタが同社のFCV「MIRAI(ミライ)」に向けて開発した「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」を搭載している。座席、立席、乗務員を併せた定員は77人だ。

図1 「トヨタ FC BUS」の外観 出典:トヨタ自動車

 出力を高めるためにFCスタックやモーターなどを2個搭載することで、バスとして必要な走行能力を得ている。高圧水素タンクはMIRAIの4倍となる8本を搭載。耐圧70MPa(メガパスカル)のタンクで、合計480Lの水素を充填できる。外部給電システムも備えているのが特徴だ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.