エネルギーの地産地消を推進する大阪府が下水処理場にメガソーラーを展開中だ。新たに4カ所の処理場で発電を開始して合計7カ所に拡大した。民間企業に建設を委託してリース契約を結ぶ方式で売電収入を得ながら、災害時には発電した電力の一部を処理場の施設で利用することができる。
大阪府は9月1日に4カ所の下水処理場でメガソーラーの運転を開始した。府内には14カ所の下水処理場があるが、そのうち北部の茨木市にある「中央水みらいセンター」の施設の屋根の上などに太陽光パネルを設置した(図1)。
中央水みらいセンターでは3万平方メートルの広さがある施設の上屋を利用して、発電能力が2MW(メガワット)のメガソーラーを稼働させた(図2)。発電した電力は固定価格買取制度を通じて全量を売電する方針だが、災害時には電力の一部を施設内に供給できるように受電設備も用意した。
同様の方式で3カ所の下水処理場にもメガソーラーを建設した。北部の枚方市にある「渚水みらいセンター」、中部の藤井寺市にある「大井水みらいセンター」、同じ中部の大阪狭山市にある「狭山水みらいセンター」で、いずれも処理場の敷地に太陽光パネルを設置して1MW以上の発電能力がある(図3)。
4カ所を合計すると発電能力は6MWになり、年間の発電量は一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1680世帯分に相当する。すでに大阪府は3カ所の下水処理場に合計6MWのメガソーラーを展開している。7カ所すべてを合わせると発電能力は12MWで、3500世帯分の電力を供給することが可能だ。
7カ所のメガソーラーは民間企業に建設を委託して、発電設備を大阪府がリース方式で賃借する(図4)。初期投資が不要なことから、自治体が大規模な発電事業を実施するうえで効率的なスキームである。各メガソーラーの委託先は公募で選定した。
大阪府は原子力発電に対する依存度を低下させるために、「おおさかエネルギー地産地消推進プラン」を2014年3月に策定した。2020年度までの6年間で太陽光発電を中心に供給力を125万kW(キロワット)以上増やすことが目標になっている(図5)。
再生可能エネルギーを拡大する施策の1つとして、太陽光パネルを設置しやすい広くて平坦なスペースがある下水処理場にメガソーラーを展開する。残る7カ所の下水処理場でも構内の空き地や施設の上屋を利用してメガソーラーの導入を促進していく。
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