これらの特性を生かし変動幅の大きな再生可能エネルギーの“変動を安定化させる技術”として、実証実験を進めていく。山梨県 企業局 電気課 研究開発担当主査の堀内伸一氏は「蓄電システムという名前だが、夜間電力を賄うような長周期の電力利用ではなく、出入りの多い短周期の“電力安定化”システムとして想定している。今後日本において再生可能エネルギー比率が高まっていけば、電力供給の変動幅は非常に大きくなり、電力系統への負担は重くなる。これらを防ぐために系統接続の制限などが進んでいるが、電力の安定化させられるシステムを用意できれば、再生可能エネルギーの比率を高めていくことが可能になる」と述べる。
2014年秋には、九州電力を先駆けとし再生可能エネルギーによる発電設備の系統接続保留の動きが広がったが、これは再生可能エネルギーの発電量の変動幅が大きいことが要因だ(関連記事)。現在の電力の送配電網は「同時同量の原則」があり、需要と供給を常に一致させる必要がある。通常は火力や水力などを活用し、需要に対してリアルタイムで追従できるような仕組みを取っているが、再生可能エネルギーの比率が増えさらにその変動幅が追従能力を超えるものになった場合、周波数が不安定になり、最悪の場合には大規模な停電を発生させる可能性がある。
次世代フライホイール蓄電システムはこの再生可能エネルギーの急速な変動を吸収し、緩やかな変動とすることで、現行のシステムで需要変動への追従を可能とすることを狙いとしたものというわけだ(図2)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.