気温が低下する冬季でも、地下を流れる下水は一定以上の温度を維持している。滋賀県はこうした下水の持つ熱を工場などの産業用施設の省エネに活用する研究を開始した。滋賀県、関西電力、積水化学工業、日水コンが共同で行うもので、産業用施設を対象に、流域下水道管路の下水熱の活用を目指す官民共同研究は全国初の事例になるという。
下水のもつ熱エネルギーを製造プロセスに利用し、省エネを図ろうとする取り組みが滋賀県でスタートする。滋賀県と関西電力、積水化学工業、日水コンが共同で、同県内における流域下水道管路の下水熱を、工場などの産業用施設への熱供給に利用する研究を開始した。
この取り組みは滋賀県が流域下水道に関する新技術開発に向け、同県と共同研究を行う民間企業を募集したもの。その上で関西電力、積水化学工業、日水コンの3社が「流域下水道管路の下水熱利用に関する研究の実施」というテーマで滋賀県に申請を行い、このほど承諾を受けた。
従来の下水道事業は法律上の規制により、民間事業者による事業エリアが制限されていたことや、管路内の熱回収技術が確立されていなかったことから、主に自治体が下水処理場やポンプ場周辺で実施してきた。また熱供給もこうした施設の周辺にある自治体関連の業務用施設に対して利用するにとどまっていた。
今回の共同研究は法改正による規制緩和や熱回収技術の進歩を踏まえ、これまで未利用だった流域下水道管路内の下水を熱源とし活用し、多量の熱を使う民間の工場など、産業用施設への熱供給を行う事業の可能性検証を目的としている。
具体的な研究内容は以下の4点だ。
実施期間は2015年9月3日〜2016年3月31日。2015年度は机上検討を行い、実機の設置は同年度の研究結果を踏まえて次年度以降に実施を検討する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.