これまで順調に拡大してきた固定価格買取制度がいよいよ曲がり角を迎えたようだ。2015年5月の導入量は70万kWにとどまり、前月と比べてほぼ半分に減った。認定を受けた設備の規模は30万kWで、バイオマスだけが伸びている。実際に買取の対象になった電力量は月間で40億kWhを超えた。
固定価格買取制度による発電設備の導入規模は2015年5月末時点で2082万kW(キロワット)になり、前月から70万kWの増加だった(図1)。月間の伸びは3月の115万kW、4月の130万kWと比べて大幅に縮小している。2014年9月から九州電力を中心に始まった太陽光発電の導入量を抑制する施策の影響が出始めたものとみられる。
認定を受ける設備も急速に減ってきた。2015年4月から太陽光発電の買取価格が下がったほか、認定ルールも変更になり、発電事業者の導入意欲を失わせている。太陽光発電の認定取り消し分を含めて4月の認定量は8万kWの純減で、5月も30万kWの増加にとどまった。その中ではバイオマスが24万kWも増えて順調だ。
一方で実際に買い取られた電力量を見てみると、2015年5月は月間で過去最高を記録した(図2)。5種類の再生可能エネルギーを合わせて41億kWh(キロワット時)の電力量になり、4月と比べて22%の増加である。前年比では約1.5倍に増えた。太陽光発電が8割近くを占めるものの、天候の影響を受けないバイオマス発電も1割強にのぼる。
41億kWhの電力量は電力会社10社が5月に販売した電力量(614億kWh)の6.7%に相当する。固定価格買取制度が再生可能エネルギーの比率を着実に高めている。そのぶん買取金額も増えて、月間で1532億円に達した。電力1kWhあたりの買取金額は37円である。初年度の2012年度に太陽光発電の買取価格を42円(税込み)と高く設定した影響が大きく、当面は30円台後半の水準が続いていく。
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